<医療ライター・しんどうとも「メンタル回復法」(15)>
「心と身体の正しい休め方」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者、禅僧で精神科、心療内科医の川野泰周さんのススメ。
いまや長い時間利用するようになったネットの功罪を改めてこう話す。
「SNSはいまや、人とつながりを確認する重要な手段になっているため、それを手放せと容易にはいえませんが、四六時中SNS、スマホを確認し続けていると自分が住んでいる現実を見落とすことになりかねません」
スマホにあふれる情報に見入ってしまい、いつのまにか画面をスワイプし続けた経験は誰にでもあるだろう。
「ネットの中にいる時間を何分に抑えるというふうにバランスをとっていかないと、やがて自分の精神自体がネットの住民になってしまいかねません。つまり、自らのイメージの中だけで生きていこうとしてしまうのです。もはやこれはネットドリフティング(=漂流)。意思によらずただ波にさらわれている状態なのです」
川野さんによると、ネットの中で自分を認識できなくなることで立ち位置がわからなくなったり、地に足がつかない状態になったりする可能性がある。
「だからこそ時々は意図的にスマホを手放しオフラインの時間をつくるデジタルデトックスが大切。スマホもSNSも便利ですが、1日の中の決まった時間に確認することを患者さんにもおすすめしています。そうすることによって1日のうちの多くの時間、“今を生きる”ことになると思います」
(2020年11月8日、ニッカンスポーツ・コム掲載)