<医療ライター・しんどうとも「メンタル回復法」(22)>

生じたストレスを上手にやりくりする方法が「ストレス・コーピング」。「パンデミックブルーから心と体と暮らしを守る50の方法」(亜紀書房)の著者で、杏林大学名誉教授・精神科医の古賀良彦さんはこう話す。

「ストレス・コーピングの基本的な手だてがRest(レスト=休む)、Relaxation(リラクセーション=くつろぎ)、そして、趣味を楽しむRecreation(レクリエーション)。それぞれの頭文字を取って“3つのR”だといわれています」

最初のRestは休養だ。

「もっともよいのは睡眠です。人生の3分の1は睡眠ですから。とくに日本人は睡眠時間が先進国の中でも短いといわれており、いきなり長く寝てくださいといってもうまくいきません。最近は睡眠環境医学などといいますが、睡眠に入る環境、つまり睡眠の質を高めることがおすすめです」

睡眠不足は、うつ病、不安障害、認知機能の低下、高血圧、動脈硬化、肥満、糖尿病などの発症リスクを高めることが知られている。たとえば睡眠に入る前の環境に気を配るとよい。

「体内時計のリズムを崩さないためにも、朝は同じ時間に起きて、太陽の光を浴びましょう。朝日を浴びると体内時計がリセットされ寝つきや眠りの改善につながります。食事の時間を変えない、適度な運動が効果的です」

ほかにも日中のメリハリが大事。たとえばダラダラしがちなリモートワークは体内時計の乱れの要因になりやすい。きちんとスケジュールの管理をしよう。

(2020年11月19日、ニッカンスポーツ・コム掲載)