<医療ライター・しんどうとも「メンタル回復法」(25)>
気持ちをゆるめる「リラクセーション」。「パンデミックブルーから心と体と暮らしを守る50の方法」(亜紀書房)の著者で、杏林大学名誉教授・精神科医の古賀良彦さんが続ける。
「気持ちにかかわるのが自律神経。自律神経は交感神経と副交感神経が互いに拮抗(きっこう)しあっています。危険な場面に遭遇すれば交感神経が優位にはたらいてそれに対応できるわけですが、反対に、安心できる環境では副交感神経が優勢になり交感神経の勢いをゆるめるのです」
古賀さんによれば、ストレスで緊張した状態をゆるめるためには副交感神経を優位にすることが大切で、そうした環境にあることが重要なポイント。「緊張が続く状況では、積極的にゆるむ方法を自分で編み出すといいだろうということなんです」
たとえば、「呼吸法」は手軽にできるリラックス法。やり方はこうだ。 「呼吸の、“吸う”方は交感神経の役割です。一方、副交感神経は“吐く”時の役割。となると、単純に副交感神経の働きを維持すればいい。つまり“吐く”といいということになりますが、あまり無理に吸うのではなく、まずはゆっくり吐きましょう。できれば“あー”と声を出しながら吐くといい。吐き終わったと思ったらそこで吐く力を緩めましょう。すると“空気は自然に体に入って”きます。“意識してたくさん空気を吸う”というより、吐いた分だけ“力を緩めると自然に入ってくる”というイメージがコツですね」
(2020年11月23日、ニッカンスポーツ・コム掲載)