<思いよ届け! 特別の冬(4)>

第100回全国高校ラグビー大会は、27日に東大阪市の花園ラグビー場で開幕する。コロナ禍の影響で無観客開催となり、家族も会場では観戦ができない。日刊スポーツでは「思いよ届け! 特別の冬」と題して、西日本の注目校を紹介する。

入れない仲間も心はひとつ

スタンドに仲間がいない。その光景をイメージすると、胸が痛い。「大会をやっていただけるだけでありがたいんですが…。僕ら、全員ラグビーを掲げてますんで」と東海大大阪仰星のWTB近藤翔耶主将(3年)は言う。無観客開催の今大会、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく、代表各校も密を避ける。花園への入場制限は各校、登録選手30人に監督、スタッフらを含む40人。部員数がマネジャー4人を含む98人の東海大大阪仰星は、60人近くが“花園外”だ。

東海大大阪仰星のWTB近藤翔耶主将(撮影・加藤裕一)
東海大大阪仰星のWTB近藤翔耶主将(撮影・加藤裕一)

優勝5回を誇る全国屈指の強豪校の主将になった。1年先輩たちの投票、同学年の投票を経て、最後は湯浅大智監督(39)が「先生にも、先輩にも誰に対してもきっちり意見が言える。キープレーヤーというより、キーマン」と文句なしのキャプテンシーを踏まえて決定した。

近藤は「主将になる覚悟はありました。僕の意見が絶対ではなく、周りの意見を吸い上げて判断する。そんな主将を目指しました」という。

コロナ禍で中止になった8月の菅平合宿のメンバー選考には悩んだ。3グループに分け3日ずつの分散型の予定だったが、3年生24人をどうするか-。

「3年生だけは全員、全日程参加がいい」という意見があったが、副主将のCTB河村凌馬(3年)らと話し合い「集中した方が効果がある」と、3年生も3日間だけの参加に決めた。

東海大大阪仰星のWTB近藤翔耶主将(撮影・加藤裕一)
東海大大阪仰星のWTB近藤翔耶主将(撮影・加藤裕一)

東海大大阪仰星は花園の試合前日練習終了時、全部員が手をつなぎ、輪になって気持ちを高める。「花園に入れない部員のために」。そんな思いで、近藤は伝統の儀式を迎える。【加藤裕一】

◆東海大大阪仰星 1983年(昭58)創立。私立の男女共学、普通科校。ラグビー部は84年創部で全国優勝5回(99、06、13、15、17年)。主なOBに元日本代表BK大畑大介、木津武士、山中亮平ら。ラグビー部以外でプロ野球元巨人の上原浩治、元日本ハム建山義紀ら。所在地は大阪府枚方市桜丘町60の1。

◆近藤翔耶(こんどう・とわ)2002年(平14)9月1日、大阪・大東市生まれ。住道北小1年でOTJラグビースクールに入り、主にSO。住道中3年で大阪選抜入りし、CTBで全国優勝。50メートル走6秒5。179センチ、86キロ。趣味は料理。憧れの選手はニュージーランド代表SOリッチー・モウンガ。好きな女優は柴咲コウ。

(2020年12月25日、ニッカンスポーツ・コム掲載)