<「生理をタブー視しないで」女性オリンピアンの主張(4)>
女性アスリートにとって避けては通れない「生理」に言及する選手が増えている。飛び込みのオリンピアン中川真依さん(33)が、その経験から今、発信したいことを伝える。
早い段階から正しい知識を
08年北京オリンピック(五輪)決勝当日の朝、突然生理が来ました。生理不順で月に2回、3回来ることもあったけど、その時は終わったばかりで、来るはずのないものでした。緊張やストレスで、ホルモンバランスが崩れたんでしょうか。それまでは生理痛もなかったのに、その日は立てなくなるほどの痛みで、はいつくばってドクターのところに行きました。
試合は午後8時からだったので、多めに薬を飲んで部屋で寝ました。でも痛み止めって、体の感覚がちょっと変わってしまうんです。はだしでするスポーツなので、足の裏の感覚が発達しているんでしょうか。足の指で台をギュッとつかむ感覚を大事にしているけど、それがぼやっとした感覚になったんです。力が入っているのに、伝わっていない感じ。それがまた不安を呼んで、緊張で足が震えてしまって、「こういうところにも目を向けないといけないんだ」と後悔しました。
だから12年のロンドン五輪出場が内定した後、低用量ピルで生理を調整しようと決めました。ただ、そのピルは私には合いませんでした。むくんだり、筋肉が衰えて、腹筋の肉離れや首の捻挫など、いつもならしないケガをしました。1カ月足らずで服用をやめましたが、他のピルを試す気にもなれず、自分の体を取り戻すのに必死でした。
早い段階で生理不順に関心をもち、相談しておけばよかったかもしれません。コーチ含めて、ジュニアの頃から正しい知識を身につけたり、相談できる環境があるといいなと思います。(談)
◆中川真依(なかがわ・まい)1987年(昭62)4月7日生まれ、石川県小松市出身。トランポリンを習っていたことから、小学1年時に飛び込み競技を始めた。08年ワールドカップ(W杯)で6位入賞、同年北京五輪では11位。12年ロンドン五輪にも出場した。16年に現役を引退。156センチ、A型。
(2021年1月31日、ニッカンスポーツ・コム掲載)