<陸上:びわ湖毎日マラソン>◇28日◇滋賀・大津市皇子山陸上競技場発着(42・195キロ)

ついに日本マラソン界は2時間5分の壁も突き破った。鈴木健吾(25=富士通)が2時間4分56秒の日本新記録で初優勝。昨年3月の東京で、東京オリンピック(五輪)代表の大迫傑(29=ナイキ)がマークした従来の記録を33秒も更新し、自己ベストも5分以上塗り替えた。

2時間4分56秒の日本新記録で初優勝を果たした鈴木は両手を広げてゴールする(撮影・上田博志)
2時間4分56秒の日本新記録で初優勝を果たした鈴木は両手を広げてゴールする(撮影・上田博志)

母校神奈川大の大後栄治監督(56)も、鈴木の日本新記録を喜んだ。自宅で夫人と観戦し「35キロ過ぎてから『これは日本記録に届くかもしれない』と興奮して、ゴールした時は2人で万歳三唱でした」と笑った。

神奈川大・大後栄治監督(2018年1月2日撮影)
神奈川大・大後栄治監督(2018年1月2日撮影)

89年から同大学の陸上部に携わる名将が、驚いたのは練習量。合宿で昼晩の食事時間に間に合わないことも多かったといい「『あいつはどこまで行っているんだ!』となる。朝に2時間弱走って、昼に2時間弱走って、夕方もそれぐらい走る。1日に3回やる選手を僕は見たことがない。30年間、選手を預かった中では走る量がピカイチの選手」と高い意識をたたえた。

17年11月、両手を広げ全日本大学駅伝優勝のゴールテープを切る神奈川大・鈴木健吾
17年11月、両手を広げ全日本大学駅伝優勝のゴールテープを切る神奈川大・鈴木健吾

3年時に箱根駅伝の2区区間賞で注目を集めた教え子は今後、世界での活躍が期待される。恩師は「集中力が散漫になる選手じゃない」と評し「駆け引きの中でどうやって勝ちきるか。ペースの変化に対応できる練習、慣れが大事かなと思います」と指導者目線で分析した。

(2021年3月1日、ニッカンスポーツ・コム掲載)