春は進級、進学の季節。練習時間やタイミング、強度が変わり、練習についていくのがやっとだったり、疲労が抜けなかったりすることもあるでしょう。入寮や1人暮らしを始めたことにより、食事を自分で管理しなければならなくなった人もいるのではないでしょうか。

これらの環境の変化にうまく対応できず、体調不調になる選手も実際に多く見られます。このようなコンディション不良に陥らないための3つのポイントを紹介します。

1、生活リズムの変化に備える

学校生活が軌道に乗るまでは、食事をとる時間がなかったり、品数が少なくなってしまうこともあるでしょう。しかし、このような状況が続くとエネルギー不足による体調不調につながることがあります。予防するには「食べやすいものを準備しておく」ということです。

例えば、作り置きや、忙しくても食べやすい缶詰や調理済み食品を上手に利用するなど。実際に、選手が実施しているものとして、「時間があるときに野菜スープを作っておく」「まとめて炊いたごはんを計量してラップにくるみ、冷凍庫に保管しておく」などがあります。

パスタなどの乾麺や保存がききやすい缶詰などを実家から送ってもらい、生鮮食品は自分で購入して組み合わせるなど、時間がなくても工夫して自炊している選手もいます。自分に必要な量を把握した上で、食事をとりやすいように準備しておきましょう。

2、練習時間の変化に対応する

練習の時間やタイミングが変わると、食事や補食のタイミングも変わることがありますが、「練習前に必ず、運動で使われる分のエネルギー補給をしておく」という基本を守り、対応することが大切です。これからの季節は外気温も上がり、熱中症のリスクも高まるので、エネルギー補給と合わせて水分も補給しましょう。練習後、すぐに食事がとれない場合は、リカバリーのためのエネルギー補給をしましょう。

3、運動量に見合うエネルギー補給を考える

練習時間が増え、強度が高くなるということは、エネルギー消費量が多くなるということです。つまり、それに見合うエネルギー量を食事からとる必要があります。

具体的には、主食のごはんやパンの量を増やす、練習前後の補食でエネルギー不足を解消することが必要です。それでも体重が落ちてしまう場合は、さらに主食の量や、食事の全体量を増やしてみましょう。

エネルギーが不足していないかを確認するには、毎日体重を測定して変動をチェックすることです。測定できるようなら、合わせて体脂肪量や筋肉量も確認すると、コンディションの維持に役立ちます。

練習量の増加とともに食事量も増やすことで、筋肉量が増えて競技力の向上につながることもあります。体組成の変化のチェックと並行して、体調や練習中のパフォーマンス状況を確認し、食事量や内容が適正だったのかどうかを判断していきましょう。

今回のレシピは1皿で主食、主菜、副菜が摂れる「サラダチキンベーグルサンド」です。サラダチキンは既製品を使っているので、時間がない朝でも短時間で準備できます。

ベーグルはパンの中でもエネルギーや糖質量が高く、食べ応えもあります。パンだけ、シリアルだけ、といった朝食ではなく、タンパク質や野菜を組み合わせて食べるようにすれば、栄養バランスが整っていきます。

これに乳製品や果物を付ければ、さらに栄養バランスが整いますし、ヨーグルトにシリアルを入れたり、コーンスープを付けたりすれば、エネルギーもより多く確保できます。忙しくても、パフォーマンスアップのために食事をおろそかにしないように、事前の準備や工夫ができるよう習慣化するようにしていきましょう。

女子アスリート/管理栄養士・上木明子