定期的に体重を計測している中で、なぜか体重が増えていて驚いたことはありませんか? 体重の増加に過剰に反応して、食事量を減らしたり、運動量を増やしたりして、元に戻そうとするアスリートも少なくありません。体重の増減に一喜一憂し、少しの変化が気になって仕方がない…そんな悩める女子アスリートのために、体重の増減についてお話しします。

体重を毎日測定する目的

セミナーや外来でアスリートと話をしていると、体重測定をしていないアスリートが多いことに驚きます。一方、1日に何回も測定しているアスリートも多くいますが、ただ単に「増えた」「減った」と騒いでいるだけで、何のために測定るのか目的をわかっておらず、結果を元に食事やトレーニングを考えなければならないことはあまり知られていません。「体重測定」は理想の身体を作る計画に必要なデータなのです。

体重測定のベストタイミング

そもそも、体重は1日の中で大きく変化します。水分を摂れば、飲んだ分だけ増えますし、トイレに行けば、尿として排泄された分だけ減ります。特に差が大きいのは、起床後と就寝前です。個人差はありますが、0.5kg~2kgくらい変動することがあります。

私は体重測定のベストタイミングとして、「起床・排尿直後」をオススメしています。この時間は食事や水分摂取、汗などの排泄に影響をあまり受けないので、「真の体重に近い」と言われています。

もちろん、このタイミングでないとダメなのかというとそうではありません。お風呂に入るのに裸になるからそのついでにという場合は入浴前でもいいです。重要なのは「同じタイミングで測定すること」です。

体重と「基礎代謝」との関係

体重変動に影響を与える因子として「基礎代謝」があります。基礎代謝量は「24時間寝ていても消費するエネルギー量(生きるために最低限必要なエネルギー量)」です。寝ているだけでも消費するエネルギー量、基礎代謝量が多ければ、座ったり歩いたりして消費するエネルギー量も多いということで、食事からのエネルギー摂取量はその分多くできるという理屈になります。体重は、エネルギー摂取量と消費量のバランスによって増減するので、減量する場合はエネルギー摂取量を減らすか、消費量を増やせばいいのです。

基礎代謝量が増える月経直前から月経中

この基礎代謝量に関係するのは「身長(体表面積)」「年齢」「性別(男女)」「体格」「体温」「ホルモン」「季節」「月経周期」があり、女子アスリートの中には「月経周期」に惑わされている人が多いようです。

月経周期で分泌されるホルモンが身体に与える影響は様々です。上の図のように、卵胞期はエストロゲンが分泌されるので体調は良好ですが、排卵期から黄体期はプロゲステロンが増え、食欲が増して暴食したり、イライラするなどメンタルが安定しないことが多いのです。

しかし、図をよく見ると、25日目あたりから両方のホルモンが減ってきます。この月経直前から月経中が基礎代謝の増える期間となります。

減量はタイミングを見極めろ

つまり減量するなら、基礎代謝量が一番多い月経直前から月経中に活動量を増やすと効果的です。逆にその時は動かず、他の時期に頑張って動いてエネルギー消費量を一定にするという考え方もあります。

月経周期による体重変化を知っていれば、いちいち落ち込まずにすみます。黄体期に体重が増えても卵胞期に戻るなら問題ないのです。月経周期による体重変化を頭に入れた上で、減量計画を立てることが重要です。

今回紹介するのは「ジャガイモのシンプルガレット」です。ジャガイモを細切りにし、チーズを混ぜてフライパンで焼いただけの簡単なおかずです。そのまま副菜にしても良し、朝食のおかずの付け合わせにしても良し、ツナやハムを混ぜて焼いても良いし、円形に広げて真ん中に卵を入れて焼いて「巣ごもり卵」にするなどアレンジもききます。

基礎代謝に関係する因子はたくさん

最後に基礎代謝の余談です。基礎代謝に関係するもので、ある程度コントロールできるのは「体格」「体温」「季節」です。

「体格」は筋肉量のことで、筋肉量が多ければ基礎代謝がアップします。「体温」が1℃上がると基礎代謝は13%上がるとも言われているので、冷えは大敵です。「季節」は冬の方が体温を上げようとする作業が体内で行われているため基礎代謝が高くなります。冬は減量に向いている一方、夏は基礎代謝が低い季節です。思わぬ夏太りには気を付けたいですね。

女子アスリート/管理栄養士・佐藤郁子