アスリートは健康な体を基本とし、目的に向かって練習を重ねていると思われがちですが、実際は不調を抱えているケースも少なくありません。

これまで、勤務している女性アスリート外来を受診するアスリートの健康課題から、女子アスリートの皆さんが予防できること、不調があったときの対応策や、速やかな受診につながる情報をお届けしてきました。

しかし、いまだに「ご飯を少なくしなくては…」「タンパク質源はむね肉でそれ以外は食べない」など、必要以上にストイックな食事管理に取り組んでいる選手もいます。このような話を聞くたびに、選手自身が自分の状況にあった情報を適切に受け取って、実践することはなかなか難しいのかもしれないとも感じています。

不調を感じたときにまず考えてほしい3点

いまやたくさんの情報があふれていますが、目的に応じて、現在の自分の身体にあった対応策が必要です。今回は不調を感じたときにまず考えてほしい3点をお伝えします。

1、不調の理由について自分なりに考えてみる

不調を感じたら、ただ我慢してやり過ごすのではなく、なぜそのような状態になってしまったのか、その不調はいつからなのか、具体的に振り返ってみましょう。身体や心はいくつものサインを出してくれています。その都度、身体や心の声に耳を傾ける習慣をつけていきましょう。

2、自分なりに対策してみる

例えば、疲れがたまって抜けないと感じるときは、オフの日の自主練をやめる、1時間早く布団に入るようにするなど、より具体的に休養を取る時間を作ってみましょう。原因や理由がわからないときは、保護者の方に相談するといかもしれません。日頃からサポートしている身近な方からの助言にヒントがあるかもしれませんね。思い当たることがあれば、実際に行動を変えて、体調がどう変わるか試してみましょう。

3、それでも改善しない場合は専門家へ相談

長期間、不調のままでいると、将来の身体づくりに影響が出ることがあります。長らく不調が改善しない場合は、現在の状況や受診について、指導者に相談することも一つです。スポーツドクターのいる病院で診察を受けたり、公認スポーツ栄養士に食事相談をしたりしてみましょう。

アスリートから実際に、「食事量を増やしてコンディションが安定した」「運動量を減らしたら体調が回復した」などの声も聞いています。ちょっと勇気を出して行動することで、よい変化が生まれるでしょう。

保護者や指導者にも相談しながら

近年では、指導者の方々が、「ジュニア期」というライフステージや女性の特徴を考慮して練習メニューを組み、サポートするケースも増えています。特に成長期であるジュニア期は、学校生活を楽しんだり、身長が伸びたりと、スムーズな発育発達が行われていることが前提です。休養が十分に取れ、運動量に合わせたエネルギーを食事からしっかりとっている状況で、運動することが望ましいのです。

ジュニア期に身体づくりができていれば、年齢を重ねてからもケガが少なかったり、競技特性に合わせた体格の獲得もスムーズなことが多かったりするのも事実です。現役を引退してからも、生涯スポーツとして長くスポーツを楽しむこともできるのです。

選手自身が自分のコンディションを理解し、行動を変えた結果、体調が良くなったという流れは、アスリートとしての自己管理につながります。それだけではなく、選手の自己効力感や自立につながり、精神的にも大人に成長すると思っています。是非参考になさってくださいね。

今回紹介するレシピは「モズクと豆腐のスープ」です。

モズクは水溶性の食物繊維が多く、腸内環境を整える働きがあります。肉や卵など中心のおかずでは不足しやすい植物性タンパク質である豆腐を入れました。ご飯とおかずにプラスして、不足しがちな栄養素を補給してコンディション管理をしていきましょう。

女子アスリート/管理栄養士・上木明子