前回のコラムで「肉はタンパク質だからいくら食べてもいいのか?」といった質問について、肉の部位によって脂質もかなり多く含まれていて、動物性油脂を摂りすぎることもあるということをお伝えしました。 (「脂質って何?太るからいらないって本当?」)
タンパク質の働き
まず、タンパク質はどんな働きをしてくれるのでしょう?
筋肉、骨格、臓器などの体構成成分となり、またミネラルや脂質などの体内での運搬役となります。大きな筋肉、しなやかな筋肉作りのためだけではなく、背を伸ばすためにも、骨を強くするためにもタンパク質は欠かせない栄養素となります。
適正な摂取量は?
では、どのくらいの量を摂るのが望ましいのでしょう?
種目や運動強度によって異なりますが、1日に必要なタンパク質量は一般的に「体重(kg)×1.6(g)」と考えます(トップアスリートでも体重1kgあたり2gまで)。
例えば、体重80kgの場合は、80×1.6=128g/日。ただ、この量は目安なので、実際には体重や体脂肪率をモニタリングして量を調整していきます。
また、多く摂れば良いというものではありません。1日に体内で利用できるタンパク質の量は限られているので、余った分は脂肪としてカラダに蓄積されてしまいます。その結果、腎機能障害、カルシウムの排泄量の増大、糖尿病、心血管疾患、ガンの発症などさまざまなリスクにつながるとも言われています。
何から摂るべき?
それなら、必要なタンパク質を何から摂った方がいいのでしょうか?
タンパク質は肉、魚、卵、豆腐や納豆などの大豆加工品といった主菜の材料となるもののほか、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、ご飯やパンや麺類にも含まれます。
食品を選択する際は、肉の部位や乳製品の脂肪や糖分の量などにも注意しましょう。現代の日本人の食生活を考えると、赤身の多い部位を選ぶ、脂身を取り除く、鶏肉の皮や脂を取り除く、また乳製品は低脂肪や無脂肪、無糖や低糖などの食品を選ぶようにすると良いでしょう。
食品が含む目安量
次に、タンパク質を多く含む食品の大まかな目安量を示しました。( )内の数字がタンパク質量です。
●牛もも肉しゃぶしゃぶ用 5枚(20g)
●豚もも肉生姜焼き用 4枚(20g)
●鶏むね肉 1/3枚(23g)
●鶏ささみ肉 2本(23g)
●サケ厚めの切り身(22g)
●タラ厚めの切り身(18g)
●卵 1個(6g)
●木綿豆腐 1/2丁(10g)
●牛乳 コップ1杯(7g)
●ヨーグルト 1/4パック(3.5g)
●ご飯 普通茶碗1杯(4g)
●食パン 6枚切り1枚(5.5g)
●ラーメン 1玉(10g)
皆さんの食事内容を振り返ってみてください。量は摂れているのではないでしょうか?
食事から摂るためのポイント
タンパク質摂取のポイントは、良質なタンパク質(肉、魚、卵、大豆加工品、乳製品など)を摂ること、その際に肉の部位や食品の種類を選ぶこと、油を多く摂り過ぎない調理法を選ぶことなどです。
食事からしっかり摂っていれば、栄養補助食品に頼らなくても良いのです。プロテイン飲料などのサプリメントの利用は、食事量が少ない時や運動直後の回復に止め、利用する場合は医師や栄養士などの専門家に相談し、摂取量を守ることが大切です。
写真は「鶏ささみ肉の野菜チーズ巻き」です。低脂肪、高タンパク質の鶏ささみ肉を使い、野菜とカルシウム豊富なチーズを巻くことにより、ボリュームとコクと栄養価を高めています。チーズが溶けたアツアツがオススメですが、お弁当に入れる時は冷めてから切ると、切りやすく、彩りもきれいです。鶏むね肉を使用する場合は、皮を取り、薄く切り、肉たたきで厚みを均一にしてから使います。
【管理栄養士・石村智子】