「試合の前日や当日の朝、どんな食事にしたらいいでしょうか?」とよく質問されます。確かに、試合でパフォーマンスを発揮するために、その前の食事に気持ちが入りがちですが、実は、試合後の食事もとても大切なのです。

 本来は運動後、なるべく早いタイミングで基本の食事の形に整えられたものを摂取することが、疲労回復や筋肉の補修に大きく影響します。

炭水化物でエネルギー補給

 しかし、実際にはそんなに早く食事が摂れないことが多いでしょう。その場合は、まずは速やかに、エネルギー補給のために炭水化物を摂ります。バナナ、おにぎり、ゼリー飲料(エネルギー補給用)などが手軽に摂りやすいですね。

 その後の夕食は、基本の食事の形を保ちます。その上で、筋肉補修のために良質なタンパク質と鉄を意識し、抗酸化作用のある野菜や果物も摂りましょう。

タンパク質、鉄、ビタミンで修復

 良質なタンパク質とは肉、魚、卵、豆腐や納豆などの大豆加工品、牛乳など。鉄は、レバー、牛赤身肉、カツオやマグロなどの赤身、大豆加工品、卵、アサリやハマグリなどの貝類、サラダ菜、サニーレタス、ホウレン草、小松菜、モロヘイヤ、春菊などの野菜類に多く含まれています。

 ビタミンA・C・Eは抗酸化作用があり、野菜類ではビタミンAはモロヘイヤ、ニンジン、ホウレン草、春菊、カボチャ、サラダ菜などに、ビタミンCはパプリカ、ゴーヤー、ピーマン、モロヘイヤ、ブロッコリー、キャベツ、トマトなどに、ビタミンEはカボチャ、パプリカ、ニラ、ブロッコリー、ホウレン草、サラダ菜などに含まれています。

 ビタミンCは、抗酸化作用のほかコラーゲン、カルニチン、神経伝達物質などの合成や鉄の吸収率を上げる働きがあります。

次の試合に向けて体を再生

 早朝から子どもの応援に行き、保護者も疲れてしまって試合後の食事をおろそかにしてしまうと、疲れがとれず、体が再生されにくくなってしまいます。前日から準備できるものを上手に利用し、次の試合に向けてリカバリー食をしっかり摂れるようにしましょう。

「アボカドと卵のローストビーフ丼」。前日にローストビーフを仕込んでおくと夕食作りが楽になります
「アボカドと卵のローストビーフ丼」。前日にローストビーフを仕込んでおくと夕食作りが楽になります

 写真は「アボカドと卵のローストビーフ丼」です。ローストビーフを前日に仕込んでおくと、試合当日の夕食作りが楽になります。今回紹介するのは、簡単に失敗なくできる湯せんでの作り方です。

 牛もも肉は良質なタンパク質で、鉄も豊富。卵も良質なタンパク質で、卵黄は鉄をたくさん含んでいます。

 アボカドはビタミンE、ビタミンB群、食物繊維が、サラダ菜はビタミンA・C・Eと鉄、パプリカはビタミンA・Cを多く含んでいます。

 写真では栄養価の高い雑穀米を使っていますが、疲労があるときは胃腸も疲れているので、消化の良い白米にしましょう。

管理栄養士・石村智子