アスリートは、「鉄欠乏性貧血」になりやすいもの。めまいや立ちくらみなどの症状が出ていなくても、疲れやすい、だるい、すぐに息が上がる、頭痛、耳鳴り、食欲不振、後半にスタミナ切れを起こす、何となく調子が悪いなどの症状がある場合は、貧血または貧血気味のことがあります。

 マラソンなどの持久系スポーツの選手は特にですが、バレーボール、体操、バスケットボール、レスリング、剣道、空手、ラグビー、サッカーなど、あらゆる競技で注意が必要です。

 鉄が欠乏した状態になると、赤血球による酸素の運搬能力が落ちるため、持久力の低下にもつながります。そうならないよう、日頃から食事で整えていきましょう。

目標量は一般人の1.5~2倍

 鉄は吸収率が悪いため、アスリートは、一般人の1日の推奨摂取量の1.5~2倍が目標量となります。

 鉄摂取のポイントは「日頃からコツコツ摂る」「1つの食品に偏ることなく、鉄を多く含むさまざまな食品から摂る」「吸収率を上げるタンパク質とビタミンC」を一緒に摂ることです。

 鉄を多く含む食品は、レバー、牛赤身肉、カツオやマグロなどの赤身、アサリやシジミなどの貝類、豆腐や納豆などの大豆加工品、卵、ヒジキなどの海藻類、小松菜やモロヘイヤなどの青菜類、切り干し大根。ヒジキや切り干し大根は常備しておくと、もう1品足したい時などにも便利です。

タンパク質、鉄を多く含んだレシピ「牛ひき肉と鶏レバーの麻婆豆腐」
タンパク質、鉄を多く含んだレシピ「牛ひき肉と鶏レバーの麻婆豆腐」

 写真は「牛ひき肉と鶏レバーの麻婆豆腐」で、タンパク質、鉄を多く含む食品をたくさん使ったレシピです。赤パプリカに含まれる葉酸には造血作用があります。

 ビタミンCも含まれていますが、生野菜のサラダやあえ物、果物を献立にプラスすると良いでしょう。試合の後のリカバリー食や夏バテ予防にもなり、ご飯が進むおかずです。

管理栄養士・石村智子