国体代表選手に対して行われる血液検査で、女子選手の約3分の1が基準値以下で貧血のリスクが高いというデータがあります。重い貧血の症状が出ていなくても、疲れやすい、後半バテやすい選手は、貧血の可能性があるので注意する必要があります。

検査結果の数値が悪い場合は、一般的な治療として、鉄剤が処方されますが、鉄剤は頭痛薬のような頓服薬ではないので、即座に効果が出るわけではありません。

女子は成長期に生理が始まると、男子より多くの鉄を必要とします。競技のために減量をする場合、正しく行わないと、スポーツ貧血、スポーツ無月経、骨疲労骨折のリスクが高まります。

ビタミンCと一緒にコツコツと

「鉄」は体内での吸収が悪いので、毎日コツコツ摂ることがポイントです。貧血予防には、日頃から「食事の基本の形」を整え、その上で「鉄」を多く含む食品と、「鉄」の吸収率を上げるビタミンCを含む食品を意識的に取り入れていきましょう。

「鉄」を多く含む食品は、レバー、赤身肉、赤身魚、貝類、卵(卵黄)、大豆加工品、ホウレン草、大根やカブの葉、ドライフルーツ(プルーン、レーズン、ラズベリー等)、ナッツ類(ゴマ、カシューナッツ、アーモンド等)ですが、動物性食品に含まれる「ヘム鉄」の方が植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」より吸収率が高いと言えます。

貧血の原因がまれに亜鉛不足によることもありますが、「食事の基本の形」に整えていけば、様々な栄養素が自然と摂れることにつながります。

今回は、「ピーマンと牛ひき肉の辛みそ炒め」を紹介します。牛ひき肉はもも肉など赤身の部位をひいて使うと、鉄の含有量も高く、亜鉛も含まれています。高タンパク質低脂肪となり減量時にも適しています。

ピーマンはビタミンC、カロテン、葉酸、食物繊維を含んでいます。野菜を多く使用することによって、満足感につながります。温泉卵をのせて、丼物に応用したり、お弁当のおかずにしたり、お試しください。

減量時にこそ、栄養密度の濃いメニュー選択をし、ケガをしにくい体作りとパフォーマンスアップをはかりましょう。

管理栄養士・石村智子