熱中症対策として、適正な水分補給の大切さはご存知だと思います。汗をかくことで、汗が蒸発する際にカラダの表面温度を下げることにつながるからですね。そのためにも運動中だけではなく、運動前から水分補給しておくことがポイントの1つです。

しかし、暑く厳しい環境下では、汗の蒸発による体温調節がうまくいかず、熱が体にこもってしまい、深部体温が上昇してしまいます。それを防ぐために、アイスバッグで毛細血管が多い手のひらを冷却するとともに、スラリー状(液体と細かな氷の混合物、シャーベットのようなイメージ)のものを飲むと効果的です。氷は溶ける時に体内の熱を吸収し、深部体温(体の内部の温度)の上昇を抑え、体の芯から効果的に冷やすことができます。

液体より温度が低く固形より飲みやすい

スラリー状のものは液体の飲み物よりも温度が低く、固形の氷より飲みやすいので、プロのスホーツチームなどでも用いられています。運動前のプレクーリングや、運動中、運動後など広く用いられています。一度に大量に摂取するのではなく、コップ半分くらいずつこまめに摂れるとより効果的です。

写真は「スイカと甘酒のアイススラリー」です。スイカを冷凍し、甘酒など他の材料とともにミキサーなどで撹拌(かくはん)するだけです。

スイカは果肉の90%以上が水分ですが、カロテン、ビタミンB1・B2・C、カルシウムや鉄などのミネラルも微量ながら含まれています。また、含まれている糖質の種類はすぐにエネルギーになりやすいブドウ糖・果糖・ショ糖を多く含んでいます。

「飲む点滴」とも言われている米麹甘酒は様々な栄養素を含んでおり、特にB1・B2・B6・ナイアシン・葉酸など「代謝のビタミン」と言われるビタミンB群を豊富に含んでいます。また、速やかにエネルギーに変換されやすいブドウ糖も多く含まれています。

発汗が多い時は、塩少々を加えると良いでしょう。家庭では、写真のようにグラスのまわりをレモン汁で湿らせて塩をつけ、飲むときに塩を一緒に摂取するようにすると甘みも強く感じられます。

しっかり食べて、十分な睡眠をとり、疲労を次の日に残さないようにすることが、熱中症予防の基本です。その上で適切な水分補給と深部体温を下げるという選択肢も加えてみてください。

管理栄養士・石村智子