今回のコラムから「大人ゴルファー」向けの内容をお伝えしていきます。ゴルフは天候や芝のコンディションに左右される競技ですが、自分の体調やコンディションを整えて、少しでもスコアアップできるようなアドバイスを食事や栄養面から伝えていきます。

バナナ1本とブラックコーヒーじゃダメ?

さて、この寒い時期、プロはオフ期でもラウンドの予定が入っている一般ゴルファーの方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。ゴルフをしない方たちからすると、「こんな寒い季節にわざわざ外に何時間もいるなんて?!」と思われるかもしれませんが(笑)、ゴルファーは寒くても元気に(?)ラウンドを楽しみます。

少しでも温かくラウンドするには、保温効果や湿熱効果のある服装選びやウォームアップは必要ですが、実は食事も大切なポイントなのです。

先日、ご一緒したハンディキャップが少ない上手な方が、珍しく前半の調子が上がりませんでした。途中で、「朝食はバナナ1本とブラックコーヒーじゃダメなのかな?」とたずねられました。

朝食を食べなければならない理由

成長期のジュニアアスリートにとっての「朝食の重要性」は、これまでもお話ししてきた通りです(※参考コラム)が、大人ゴルファーにとってももちろん大切です。

私たちは寝ている間も基礎代謝が行われ、朝起きた時はエネルギーが枯渇している状態です。朝食を摂らずに活動したら、自分のカラダからエネルギーを作り出さなければならなくなってしまいます。日頃、忙しい合間を縫ってジムで鍛えた筋肉にも影響しかねません。

「ゴルフは頭を使う」と言われていますが、風やライなどの状況観察、情報収集と判断が、ショット以前に重要なカギになります。朝食を摂ることで体内時計がリセットされ、頭がクリアになり、コースマネジメントに生かせることでしょう。

また、朝食を摂ると、寝ている間に下がった体温を平熱に戻すことができます。体温が下がったままだと免疫力が下がり、ウイルスなどへの抵抗力も落ちてしまいます。寒い屋外では、より寒く感じることにもなります。

忙しく時間のない朝、何を食べる?

とは言え、日頃、朝食をしっかり食べる習慣のない方や、朝早い時間に出かける大人ゴルファーには、朝から栄養バランスを整えた食事を摂ることはなかなか難しいものですよね。

先に挙げた「朝食はバナナ1本とブラックコーヒーじゃダメなのかな?」という質問には、「ゆで卵をプラスすると良いですよ」とお答えしました。食事をしたらカラダが温かくなったという経験はあると思いますが、これは食事誘発性熱産生(食事をした後でエネルギー消費量が増加すること)によるものです。タンパク質は炭水化物や脂質より熱産生が高いので、何か1品を足すなら、タンパク質を多く含み、簡単に食べられるものが良いでしょう。

ただし、普段食べていないのにラウンド当日に「体に良い」と言われるものを食べてみたり、急に完璧なものを求めたりするとカラダもビックリしてしまいます。朝食を欠食していた方は、牛乳をコップ1杯やバナナ1本から、バランスが取れていない方は足りないものを1品ずつ増やしていく…というようにカラダを慣らし、主食・主菜・副菜・汁物・果物・乳製品を揃える「基本の食事の形」に近づけていくと、ゴルフの腕も上がるかもしれませんね。

写真は、忙しい朝にオススメの「ちりめんじゃこと大葉のチーズトースト」です。包丁を使わず簡単に作れるので、時短にもなります。パンでしっかりエネルギーを補給でき、チーズやちりめんじゃこにはタンパク質、カルシウムが多く含まれています。

ラウンド前夜、ゴルフの準備とともに朝食の準備もすることから始めてみてください。

管理栄養士・石村智子

※参考コラム(朝食の重要性)
試合の日の朝ごはん-なぜ朝食を食べなければいけないのか?
アスリートの朝食は重要、しっかり食べない理由を把握して工夫・対策を
朝日浴びて体内時計リセット、お気に入りのプレートでバランス良い朝食を
忙しい平日の朝ごはんが楽になるコツ、和食派もパン派もこれ1つ
朝食でしっかりタンパク質、成長期アスリートのカラダを作るために
熱中症のリスクを下げる朝の大事な習慣「コップ1杯の水」と「朝食」