サッカー日本代表は、合宿中に何を食べているのか。90分間、走り続けられるスタミナの源は? 5月末から6月中旬にかけ、3週間に渡り実施された日本代表合宿時の「食」をリポートする。毎食、ビュッフェ・スタイルで朝食、昼食、夕食に加え、試合当日のメニューや補食などを、写真(日本サッカー協会提供)とともに紹介します。
試合4~5時間前は炭水化物中心
まずは、試合日のメニューを見てみよう。これは、スタジアムに出発する前に、宿舎で食べるもので、試合開始の4~5時間前となる。炭水化物中心の献立になっている。2種類のサンドイッチや団子、パンケーキ、ワッフル、焼きもち、うどん、おにぎり3種類、パスタ、かまぼこ、グリルチキン、みそ汁など、すぐにエネルギーに換えられる炭水化物を好みによって摂ることができる。海外遠征時には、Jヴィレッジで働く料理長が帯同し、持参した福島県産米でおにぎりを作り、これを楽しみにする選手が多い。
日本代表選手団の食事は、日本サッカー協会医学委員会栄養部会の定めた管理栄養士が活動期間中のメニューを立案する。Jリーグは新人研修時に栄養に関する教育をするし、J各クラブも食事講義を毎年実施する。チームによっては、選手夫人を集めて「旦那さんが1年でも長く現役を続けるための栄養学」などを伝えている。
そのため、すでに栄養に関する知識もあるので、代表合宿では、何を食べるかは各自に任せているが、大前提は以下の3つだ。
(1)豚カツや天ぷらなどの揚げ物と刺し身やすしなどの生物は、基本的には出さない。
(2)毎食、炭水化物として米、パスタ、パンを用意。
(3)毎食なるべくタンパク質摂取のため肉(豚・牛・鶏)、魚を各種準備する。
これに加えて、最近の試みとして、補食を用意することになった。練習前後、試合前後にロッカールームに準備するもので、干しイモやようかん、チーズやナッツ類、バナナなど。以前はサプリメントで補給するやり方だったが、ここ数年は食品から摂ることを試みている。
プロ選手は食へのこだわりが強い
朝食、昼食、夕食は、和洋中をベースに用意する。W杯予選など重要な国際大会の海外遠征では、代表専属の料理長が同行するが、親善試合などには帯同しない。また国内合宿時には、選手団が泊まるホテルの調理室に献立を渡し、料理はホテルに任せている。
欧州組の多くの選手が口をそろえて言うのは「合宿に入ると、生ものが食べられないから、合流前にすしを食べる」。ストイックに体を鍛えたことで有名な元日本代表GK川口能活氏は現役時に「体を作る時期があって、その時は天ぷらは衣をはがして食べる」と言ったことがあるほど、プロのサッカー選手は、食へのこだわりが強い。【盧載鎭】