JRAの石川裕紀人騎手(26)は、新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに食事の重要性を知った。筋力トレーニングを続けながら、タンパク質の摂取を心掛ける。デビュー9年目の関東のジョッキーに「食」への考えを聞いた。【取材・構成=三嶋毬里衣】
日々の積み重ねが力に。今年は開催8日間を終えた1月23日現在でJRA5勝、関東リーディング7位に名を連ねる石川騎手が最近、身体に気を使っていると耳にした。以前は健康に気を使っているイメージがなかっただけに最初は驚いたが、コロナがきっかけになったという。
「コロナであまり(外に)出られなくなって、筋トレを始めてみたんですよね。続かないかなと思ったけど、1カ月続いてもう2年ちょっと。以前は幼児体形というか、アスリート体形じゃなかったんだけど、今は腹筋も割れていますね」と肉体改造に成功した。その中で気づいたのが、食事の大切さだ。「やっぱり飯なんですよね。筋トレをしていると余計なものを食べたくないというか。今まではお菓子も食べていたけど、食べなくなりました」と食生活も変わった。
週末の競馬へ向けて食事を管理する。週中は、筋肉量調整の重要な要素であるタンパク質が中心。「やってみたんだけどうまくいかなくて…」と苦笑いして自炊はしないが、朝はタンパク質が26.2グラム入ったサンドイッチに加え、プロテインを飲む。ジョッキーの多くが体重50キロ前後。一般の成人ならタンパク質は1日の推奨摂取量が体重1キロあたり約0.8グラムと言われ、例えば50キロなら40グラム。石川騎手はその2~3倍のタンパク質をとる。
食べる順番も気をつけていて、まずは野菜から。「身体をきれいにしてくれる。最初にサラダを食べると便通がよくなるというのは、競馬学校時代から感じていることです」と実感する。「タンパク質をとること」「野菜を最初に食べること」。ちょっとしたことかもしれないが、意識しないとなかなかできないこと。それが石川騎手を支えている。
◆石川裕紀人(いしかわ・ゆきと)1995年(平7)9月22日、東京都生まれ。美浦・相沢郁厩舎所属。14年3月1日にデビューし、同6月1日東京2RニシノソラカラでJRA初勝利。JRA重賞は17年ラジオNIKKEI賞(セダブリランテス)を皮切りに通算5勝。1月23日現在、JRA通算4108戦213勝。162センチ、50キロ。血液型A。