<コンビニ活用術/上>
国内外のアスリートの並外れた力や技術、そして優れた精神力を目の当たりにすることができた東京オリンピック(五輪)。報道を含めて連日にぎわった中で、取材で来日した海外メディア関係者には日本の文化も関心を呼んだ。その1つがコンビニエンスストアだ。
日本全国すぐそこにあり、誰もが気軽に立ち寄れるコンビニ。ただ、こと栄養面になるとネガティブに捉えている人も多いのではないだろうか。今回はそんな人たちに向けて、アスリートにもオススメされている“コンビニ活用術”を紹介する。
全国5万8000軒のコンビニを戦略的に
もはや立ち寄ったことがない人はいないのではないかというほど身近にあるコンビニエンスストア。2020年3月末時点で、日本全国の合計店舗数は5万8000軒近くに上る(日本フランチャイズチェーン協会調べ)。
おにぎりやパン、弁当に加えて、チェーンによる競争が激しい菓子・デザート類が陳列棚を彩る。飲み物や日用品、本・雑誌類が棚に並び、ATMの完備も当たり前。最近は手軽に使えるカット野菜なども売られている。
こうした便利なコンビニだが、栄養に真剣に取り組んでいる人ほど敬遠しがちではないだろうか。ただ、これはいろいろな意味で“もったいない”という。
2003年から日本オリンピック委員会(JOC)と共同でアスリートの栄養をサポートしてきた味の素ビクトリープロジェクト(VP)の管理栄養士、鈴木晴香さんは「『コンビニ』というだけで遠ざけてしまう選手や親御さんが多いですが、実は選手のためになるものがたくさんあります。ぜひ戦略的に活用してほしい」と話す。
豊富な品揃え、缶詰1つで変わる食事
先ほども羅列したが、コンビニの品ぞろえは以前にも増して豊富になっている。冷凍野菜やカット野菜、果物に缶詰…。品数や値段はさておき、品物の種類はまるでスーパーのようになってきている店舗が目立つ。
「例えば果物はヨーグルトのトッピングに使えるし、野菜類はサラダにしたり、鍋に入れてもいい。フリーズドライのスープに乾燥わかめなどを加えるだけでも違います。缶詰1個で食事の内容も良くなります。そして身近にあるので、時間がないときに活用できることが何より大きいです」
毎回でなくとも、時間がないときは…
栄養をしっかり考える人ほど、自分自身を追い込み過ぎているかもしれない。子供のために自分できちんと作ったものを食べさせたい…と考えつつも、時間が足りないと思い悩む。ただ、ネガティブなイメージがあるコンビニには手を出しづらい-。
その結果、子供たちが必要な栄養素を摂れない状況が生まれてしまっていないだろうか。
まじめに取り組んでいる人ほど、そういう姿が見受けられるという。そして、使うまいと自分を追い込んでコンビニから遠ざかり、栄養素がそろわなくなるのはアスリートも同じだという。
鈴木さんはアスリートにも、親御さんにもこう説く。
「毎回使う必要はありません。でも、時間がないときは使っていいんです」
そこで、アスリートにもオススメしている「コンビニ活用術」を教えてくれた。【今村健人】(つづく)