「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、食塩の目標量は1日当たり18歳以上の男性で7.5g未満、女性で6.5g未満、小児の場合はさらに少なくなっています。塩分の摂取量は年々減少傾向で、食品加工技術の進歩によって食材中の塩分も減っています。しかし、日本人の塩分摂取量は少ないわけではなく、世界保健機関(WHO)が推奨する成人1日5g未満に比べると、2倍近い量の塩分を摂っています。
「そんなに塩辛いものは食べてないし、味付けも濃くないのにそんなに塩分を摂っているの?」と思う人も多いでしょう。実は塩分の摂取量の3分の2は調味料からで、残りの3分の1は食品の中に含まれる塩分なのです。
意外に塩分の含有量が多い食品を挙げてみましょう。
●意外に塩分の含有量が多い食品(食塩相当量)
明太子1個(35g)=2.0g
塩タラ1切れ(80g)=1.6g
食パン6枚切り1枚(60g)=0.8g
ハム2~3枚(30g)=0.8g
コーンフレーク1人分(40g)=0.8g
プロセスチーズ1切(25g)=0.7g
アップルパイ1個(100g)=0.7g
ウィンナーソーセージ2本(30g)=0.6g
ちくわ1本(30g)=0.6g
シラス干し大さじ1杯(10g):0.4g
卵1個(50g):0.4g
バター パン1枚分(10g):0.2g
カシューナッツ14粒(20g):0.1g
(日本食品標準成分表2015年度版調べ)
パンやアップルパイなどそれほど塩辛いと感じない食品の中にも、思ったよりも多くの塩分が含まれていることが分かると思います。そう考えると、「塩辛い」と思う食品にはかなり多くの塩分が含まれているということです。
例えば、朝食に6枚切りのパン1枚にバターを塗り、ハムエッグ(ハム1枚に卵1個)を食べた場合、何も味付けしなくても1.8gの塩分を摂ることになります。そこにスープをつけ、塩やドレッシングを使えば、1食で4~5gの食塩相当量になってしまうのです。
食塩は体に必要なものではありますが、通常の生活をしている成人の必要量は1.5g。塩分を減らすためには薄味を心がけるだけでなく、「隠れ塩分」にも気を付けましょう。