「昨年から体重が増えた」「体重は変わらないけれどズボンがきつくなった」という人も多いのではないでしょうか。在宅時間が増え、スーツや制服を着る機会が減ったことで、腹囲の変化に気付いていない人もいるかもしれません。

毎日の通勤や通学では思っている以上に歩いているもので、これらが減った人は日々の活動量が減っています。部活動が休みになったり、スポーツクラブに通わなくなったりしている方は運動量も減っています。

肥満体型でない人も増えている

そこで心配になるのが「脂肪肝」です。肝臓の病気といえば、飲酒が原因のように思いますが、飲酒しない人の「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」が増えています。特に最近では女性に多く、いわゆる肥満体型でない方にも見られます。

脂肪肝は肝臓に脂肪が蓄積された状態ですが、ただの脂肪だと思っている人は意識を変えてください。放置しておくと肝硬変や肝臓がんに移行することもあるので、侮れないものです。新型コロナ感染で重症化のリスクにもなります。

また、内臓脂肪や脂肪肝は血圧や血糖値を上昇させやすく、生活習慣病の発症につながります。無自覚であることが多いのですが、体重や腹囲が増えた人は改善が必要です。

脂肪肝になりやすい人はどんな人

それでは、どのような人が脂肪肝になりやすいのでしょうか。ジュースを良く飲む人、夕食後に菓子や果物の摂取量が多い人、夕食の時間が遅い人、食事(特に主食)の量が多い人、飲酒量の多い人が当てはまります。

肝臓に蓄積された脂肪は、使われなかったエネルギーが中性脂肪として肝臓に蓄積されたものです。エネルギー源となる脂質は脂肪酸に、糖質はブドウ糖にそれぞれ小腸で分解され、肝臓で中性脂肪に変換されてエネルギーとして使われますが、使われなかった余剰分は貯蔵エネルギーとして脂肪細胞に取り込まれます。この時、皮下脂肪よりも内臓脂肪として、特に肝臓に蓄積されやすいのですが、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように自覚症状が出にくいので放置されやすいのです。

脂肪肝を防ぐ、改善するには

脂肪肝にならないためには、状態を改善するには、余分なエネルギーを摂らないことです。つまり、食べ過ぎや飲み過ぎによって「摂取エネルギー>消費エネルギー」にならないことです。脂肪肝を改善するためには「摂取エネルギー<消費エネルギー」にして、蓄積された脂肪を消費しなければなりません。

生活改善のポイントは、食事と運動です。

まずは夕食の量を整えてください。食事時間が遅く、たっぷり食べてすぐに寝てしまうと蓄積されやすいので、量を減らすか、寝る2時間前までに食べるようにしましょう。また、家にいる時間が長いと、外出先ではしない間食が増えてしまいがちです。結果として“ちょこちょこ食べ”が摂取エネルギーの増加につながることがあるので、食べる時間と場所を決め、すぐ手の届くところに食べ物を置かないようにしましょう。

次に運動です。脂肪燃焼するウオーキングやジョギングなどの有酸素運動が有効ですが、脂肪燃焼効果を高めるには筋肉トレーニングも有効です。両方組み合わせると効果倍増です。

ただし、運動をするために外出するのが難しい状況でもあるので、家の中でできる運動も取り入れましょう。スクワットなどで、足やお尻といった大きな筋肉を動かすことが消費エネルギーを増やすコツ。YouTubeやゲームを使っての運動も楽しくできますし、スポーツジムやヨガスクールのオンラインレッスンも増えています。自分に合った継続できる運動をみつけてくださいね。

管理栄養士・今井久美