食事をしてしばらくすると、こんな症状がありませんか。胸や喉に違和感がある、締め付けられるような痛みがある、食べ物が飲み込みにくい、咳がでる、口内炎ができる…。
このような方は「逆流性食道炎」の疑いがあります。あまり聞いたことがない病名かもしれませんが、実は身近な病気で最近増加しています。罹患率は日本人の10人に1人、さらには3~4に1人という報告もあります。
食道と胃の結合部は括約筋(筋肉)で締まり、食べ物や胃酸が食道に逆流しないようになっています。しかし、何かしらの原因で胃酸が食道部まで上がってくることにより、強い酸性である胃酸によって食道や喉に炎症を起こしてしまうと、上記のような症状が現れます。
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎の原因は、次のようなものが考えられます。
食事や飲酒量が多い、油脂の多い食事、早食い、炭酸飲料や香辛料・カフェインのような胃酸の分泌を促進する刺激物が多い、食べてすぐに横になる、腹部を圧迫するような前屈みの姿勢が多い、夕食時間が遅く就寝までの時間が短い、肥満、加齢による括約筋の機能低下などです。
私が保健指導で話を聞く中で、実際に逆流性食道炎と診断されている方は、脂っこい食事を好む、夕食時間が遅い、夕食量が多い、夕食後にスナック菓子などの間食習慣がある人が多いと感じています。このような方は内臓脂肪が蓄積しやすい食習慣で、この内臓脂肪が腹部を圧迫していることも逆流性食道炎の症状がでやすい原因です。
逆流性食道炎の予防法
逆流性食道炎を予防する方法について説明します。
(1)満腹まで食べない
まずは食べ過ぎないことです。特に夕食が遅くなり、就寝時間まで短い時は食べ過ぎないようにしましょう。早食いの人は、気がついた時には満腹になっている場合もあるので、ゆっくりよく噛んで食べることも大切です。
夕食は1日の中で最も食事量が多くなる傾向が高いので、成長期でなければ「腹8分でなく7分」を心がけましょう。間食も夕食前までにしましょう。
(2)揚げ物は量を減らすか、昼食に食べる
油脂は消化に時間がかかり、胃の中での停滞時間も長くなります。焼肉や天ぷらなど油脂の多い料理はそれだけで食べるのではなく、油脂を使っていない料理を組み合わせて一緒に食べることで、油脂の摂取量を抑えるようにしましょう。
(3)食後すぐに横にならず、普段から背筋を伸ばす
食後は胃酸の分泌量が増えて、胃の内容物が食道に流れ込みやすくなります。本来、リラックスした状態の方が消化は良いのですが、できれば食後2時間くらいは横にならないことをおすすめします。
また、机で仕事や勉強をする時は前屈みの姿勢になりがちです。日常的に背筋を伸ばすことを意識して腹部の圧迫を避けるようにしましょう。同時に体幹も鍛えられて、消費エネルギーを増やすこともできます。
逆流性食道炎を治すには、医師の診断が必要ですが、食事を含めた生活習慣に気をつけ、改善することで予防が可能です。また、これらのことは、食道や胃腸への負担を軽減するものなので、逆流性食道炎の症状がない方も取り組んでみてください。