気温が上がり、汗をかきやすい季節になると、体臭が気になってきますね。おとな世代は、単なる汗くささとは違う体の臭いにも注意が必要です。
前回のコラム「食事で「加齢臭」対策、嫌な臭いを防ぐ控えるべき食品」では加齢臭について取り上げましたが、「ミドル脂臭」をご存じでしょうか。加齢臭よりも少し手前、30代から40代の男性に多くみられる脂っぽい、少し不快な臭いです。
後頭部から発生、枕が臭ったら要注意
加齢臭の成分は「ノネナール」でしたが、ミドル脂臭の原因は「ジアセチル」という成分で、汗の中の乳酸が皮膚上に常在するブドウ球菌に代謝・分解されることによって発生します。ジアセチルと皮脂(主に中性脂肪)の臭いが混ざることで、さらに臭いミドル脂臭となります。
ジアセチルは乳製品が発酵したときにできる成分でもあるので、「チーズの臭い」というと分かりやすいかもしれません。ミドル脂臭が最も発生しやすいのは、汗を分泌するエクリン腺と皮脂を分泌する皮脂腺の多い後頭部で、枕が臭ったら要注意です。背中から「枯れ草」や「古い油」のような臭いを発する加齢臭よりも、強烈だとも言われています。
ミドル脂臭予防に食事でできること
ミドル脂臭を予防、改善するためにできることは、皮脂を増やさないことです。適度な皮脂は、皮膚を守るために必要ですが、必要以上に分泌すると、より皮脂臭やミドル脂臭の原因になります。
食事での対策としては、揚げ物など油の多い料理や脂身の多い肉の多食を控え、皮脂の分泌を抑えること。また、中性脂肪が増える炭水化物や菓子を食べ過ぎないこと、ジュースやアルコールの摂り過ぎに気を付けることが挙げられます。
運動・生活面で気をつけること
適度な運動をすることも大切です。汗からの乳酸の分泌を抑えるために、乳酸が産生される運動をしない方が良いと考えがちですが、そうではありません。運動しないことで汗をかく機会が少ないと、汗腺の機能が低下し、濃度の濃いベタベタした汗になります。このようなベタベタした汗になることで、ミドル脂臭が発生しやすくなります。
筋トレなどで産生した乳酸はエネルギー源であり、筋肉から肝臓に戻り、再びグルコースに変わります。筋トレの後に有酸素運動をすると、乳酸が効率よくエネルギーとして使われ、減量(中性脂肪を減らす)にも効果的です。
日頃から運動して汗をかき、汗腺を鍛える、汗をかいたらできるだけ早くシャワーを浴びる(可能なら頭部も洗う)、皮脂を適度に落とし、ブドウ球菌などの常在菌のバランスを乱さない石けんやボディーソープ、シャンプーなどを使う、帽子を被って頭部からの発汗を防ぐ、といったことがミドル脂臭の予防になります。
日頃、保健指導をする中で、メタボの人はミドル脂臭が強いと感じています。臭いの発生する部位や種類は年代に応じて変化するため、それぞれに適した対策が必要です。