食品、飲料、調味料、外食…と食品業界は空前の「値上げラッシュ」となり、家計の負担が大きくなっています。
物価上昇の理由は、気候変動や天候不順による穀物類などの収穫量の減量、人口増加による需要の増大、新型コロナウイルスによる影響、脱炭素化に加え、ロシアのウクライナ侵攻による原油価格の高騰などです。特に大豆や小麦などの輸入作物の高騰は、あらゆる食材の価格に影響を及ぼしています。
食品や日常生活に欠かせない様々なものが値上がりする中でも、健康を維持するためには、栄養バランスを崩さず、適切なエネルギー摂取を確保したいところです。家計を守るためにとるべき対策を紹介します。
1、国産の食品を選ぶ
原油高による物流費や原材料費の値上がりに伴い、食品の価格も上がります。食品の流通時にはCO2の排出量も増加するため、脱炭素化も考慮して国産品を選びましょう。「国産品は元々、輸入品より価格が高い」と考えている人もいますが、農地の狭さや人件費などで生産にかかる費用は高いものの、流通コスト上昇分の影響は少ないはずです。
また、戦争や新型コロナウイルスなどの有事により貿易に制限がかかった場合、輸入食品は入手できなくなり、価格が急騰する可能性もあります。
そこで推奨するのは「主食にお米」です。お米の自給率はほぼ100%で安定供給されており、価格が急に上がることはありません。小麦粉を原料とするパンや麺を減らしてご飯を食べる機会を増やしたり、米粉でできた食品を利用したりすることで、食費の節約にもなります。
2、廃棄を減らす
食べ残しや使い切れなかった食品を減らすことは、節約のために最も重要なことです。
夕食を多めに作った場合、食べる分だけを皿に盛り、それ以外は保存容器に入れて冷蔵・冷凍保存をしましょう。食べ過ぎ防止、肥満予防にもなります。皿に盛ったものが残ってしまった場合でも、余程傷みやすいものでない限り冷蔵庫で保存し、翌朝食べる分には、食中毒の心配も少ないでしょう。
野菜は価格が安い旬のものを購入し、傷む前に食べ切りましょう。具だくさん汁物や炒飯、ドライカレーの具などに利用すると、軸や皮まで無駄なく食べられます。
定期的に消費・賞味期間を確認し、期間内に食べ切れるように保管場所も工夫しましょう。長期の保存がきかないものは買いだめするよりも、こまめに購入した方が無駄をなくせます。
3、冷凍食品や乾物を利用する
冷凍の野菜や果物、乾物は、旬の時期に収穫・加工するため、基本的に栄養価を高いまま維持しています。何よりも保存期間が長いため、安売り時に多めに購入しても無駄にはなりません。冷凍ひき肉や魚、冷凍油揚げ、枝豆などはタンパク質が足りない時に役立ち、使いたい分だけ使うことができるのも利点です。
4、その他
食品をディスカウントストアで購入する、特売品を利用する、単価の安い卵や納豆を主菜にする、など他にも様々な方法があります。長期的に続けられる自分に合った方法を考えてみましょう。
管理栄養士としては、「自分に必要な分以上のものは購入しない」ことが健康にも地球環境にも優しいと考えます。円安・物価高の折、食糧と経済や環境が大きく関わっていることを考えてみて欲しいと思います。