一昔前の美魔女ブームもあり、50代になっても「細い人はスタイルが良い」ともてはやされる風潮があり、痩せている人が増えています。若い女性の痩せは以前から、健康面で問題視されていましたが、50代、60代は影響はないのでしょうか。

日本人の食事摂取基準2020のBMI目標値は、次の通りです。この目標値は、2025年から使用される食事摂取基準2025でも変更はない予定です。

日本人の食事摂取基準2020のBMI目標値

年齢=目標とする BMI(kg/m2)
18~49=18.5~24.9
50~64=20.0~24.9
65以上=21.5~24.9(※)

※男女共通。総死亡率をできるだけ低く抑えるためには下限は 20.0から21.0付近となるが、その他の考慮すべき健康障害等を勘案して21.5とした。

上記を見ると、目標とするBMIの上限値は変わらないものの、下限値は18~49歳よりも50~64歳、それよりも65歳以上と上がっています。これは加齢に伴い「BMIが低いと死亡率が上がる」ことから数値が変わっているのです。

身長が縮んだら要注意

痩せている人は、体重による骨にかかる負荷が少ないため、骨密度が低い傾向があります。もちろん、骨密度は体重だけが影響しているわけではないため、痩せていても高い人、太っていても低い人がいます。

ただ、食が細く偏食傾向で長年痩せている人は、栄養不足による低骨密度の可能性が高いでしょう。身長が縮んだら要注意です。食生活を見直す必要があります。

現在、BMIが下限値に近い方でも健康な場合は、無理に体重を増やす必要はありません。無理に体重増加すると体脂肪が増えてしまう可能性もあります。若い頃、痩せていたのに太ってしまったと、これから減量しようと考えている人も、元の体重を目指すのではなく、上記のBMIの目標値を参考にしてください。

スポーツ選手はシーズンにより体重を増減させて調整しています。その理由は運動量が時期によって差があるため、体重による階級制競技に挑むため、ということなどで食事も考慮しながら体重調整しているのです。

アスリートでない一般の人にとって、体重の大きな増減は体にとって負担になり、デメリットが多いものです。「太ったら痩せれば良い」と考え、減量を繰り返す人がいますが、その前に太らないように日々気を付けていくことが大切です。

体重だけで健康を評価できるわけではありませんが、手軽に計測できる健康のバロメーターとして体重測定を習慣にしましょう。格好良い大人でいるために、単に痩せているを目指すのではなく、健康でいつまでも動くことができる体を維持できるように、食事と運動(日常生活の中で、歩く、階段利用などでも良い)に取り組んでくださいね。

管理栄養士・今井久美