<体力の正体は筋肉/第5章:下半身と体幹の筋肉をきたえなさい(9)>

4、ひざ関節のばし(きたえる筋肉=太もも前部)

椅子に座ったまま、つま先が天井に向くようにひざ関節をのばし、そのまま5秒キープする筋トレで、太ももの前部の筋肉(大腿四頭筋)をきたえます。

ひざ関節のばしの方法の図

①椅子に深く座り、背筋をのばし、両手で椅子の座面をつかみます。
②片脚のひざ関節をのばし、つま先が天井に向く(足首が90度になる)ように脚全体をゆっくり持ち上げます。腹筋と太もも前部の筋肉に力を入れているのを意識しながら、床と平行の状態を5秒キープします。
③ひざ関節を曲げるようにしてゆっくり脚を下ろし、次にもう片方の脚で同じことをくり返します。

片脚10回ずつを1セットとして1日2~3セット行い、片脚ずつの回数を徐々に増やしていきます。

この筋トレを行うと、座りすぎによる脚の血流悪化も防げます。会議などで長時間座らざるをえないときは、20~30分に1回、少なくとも1時間に1回は1セット分行うようにしましょう。

もし、脚を床と平行になるまで持ち上げるのがつらければ、椅子に浅く座り、足首を90度に曲げたまま脚をのばして、床から10㎝ぐらいの高さに5秒キープする方法でもかまいません。

5、かかとうしろ上げ(きたえる筋肉=太もも後部)

椅子の背もたれにつかまって立ったまま、かかとをうしろに引き上げる筋トレです。太もも後部の筋肉(ハムストリングス)をきたえます。

かかとうしろ上げの方法の図

①両手で椅子の背もたれにつかまって立ち、腹筋を意識して背筋をのばします。
②太もも後部の筋肉に力が入っているのを意識しながら、ひざを曲げて片方のかかとをうしろに引き上げます。
③かかとをゆっくり下ろしたら、もう片方のかかとを引き上げます。片方5~10回ずつを1セットとして、1日2~3セット行います。

6、つま先上げ・かかと上げ(きたえる筋肉=ふくらはぎやすね)

椅子に座ったまま足の裏を床に着け、つま先だけ、かかとだけを上げる筋トレです。ふくらはぎやすねの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋)をきたえます。

つま先上げ・かかと上げの方法の図

①椅子に座り、背筋をのばし、両足の裏全体を床に着けます。
②つまさき上げの場合=両足のかかとは床に着けたまま、両足のつま先だけを同時に床から上げます。このとき、ふくらはぎとすねの筋肉を使っていることを意識します。椅子に座っているとき、1セット10~30回を、できるだけ多く行います。
③かかと上げの場合=両足のつま先は床をつかむようにして着けたまま、両足のかかとだけを同時に床から上げます。このとき、ふくらはぎの筋肉を使っていることを意識します。こちらも、椅子に座っているとき、1セット10~30回を、できるだけ多く行います。

こうした椅子を使った筋トレは、きたえたい筋肉によってどれか1つでも、あるいはいくつか組み合わせてもかまいません。

ポイントは、適当な頻度(週に3~5回)で行うかどうかで、1セットの回数も、毎回行うセット数も、無理なく増やしていけば、必ず効果はあらわれてくるものです。 できるだけ長く、根気よく続けましょう。

(つづく)

※「体力の正体は筋肉」(樋口満、集英社新書)より抜粋