<スポーツする人の栄養・食事学/第2章 スポーツをする人はなにをどう食べたらいいのか(2)>

Q、現在の食事の量が適切か、どのように確認したらいいですか?

A、もっとも分かりやすい指標は、体重です。ふだんから食生活をこまめにチェックしていれば、体重の増減によって、エネルギー過剰やエネルギー不足になっていないか、それによって食事の量が適切であるかどうかが確認できます。

成人の場合、毎日の測定で、体重に変化がなければ、エネルギー消費量とエネルギー摂取量が釣り合っているので、それまでの食事の量をキープすればいいでしょう。

筋肉が1日で増える量は少ないので、体重が増えていれば、エネルギー消費量よりエネルギー摂取量が多く、エネルギー過多だとわかります。余分なエネルギーは体脂肪として蓄えられていると推定されますから、食事の量を減らさなければなりません。

逆に、体重が減っていたらエネルギー消費量よりエネルギー摂取量のほうが少なく、エネルギー不足です。十分なトレーニングを維持するための体力が低下している証拠ですから、食事の量を増やすようにします。

「食事の量(エネルギー摂取量)は、1日の総エネルギー消費量に応じて決める」という大原則に基づいて、どのくらい食べればいいのかをコントロールするために、条件が同じになるように毎朝同じ時間、起床してトイレに行ってから体重測定を行うとよいでしょう。

そもそも、エネルギーは、生命を維持しさまざまな活動を行うには欠かせないもので、その源となるのが、食事などで摂取された糖質(炭水化物)、脂質、たんぱく質などのエネルギー産生栄養素です。

それらが体内に貯蔵され、筋肉の収縮、体温の保持、細胞内での物質の合成や分解、神経の刺激伝達などを行うためのエネルギーとして消費されます。その過程を「エネルギー代謝」といいます。

消費エネルギーの構成3要素

私たちが1日に消費する総エネルギー量(エネルギー消費量)は、次の3つで構成されています。

基礎代謝量……体温の維持、呼吸、心臓の拍動など、覚醒状態での生命活動に必要な最小限のエネルギー代謝量。1日の総エネルギー消費量に占める割合は約60%。

食事誘発性熱産生……食事によって消化・吸収された栄養素が分解され、一部が体熱となって消費されるために安静にしていても食後に増えるエネルギー代謝量。1日の総エネルギー消費量に占める割合は約10%。

活動時(身体活動)代謝量……①労働や家事などの日常生活活動(非運動性身体活動)によって消費するエネルギー代謝量。②スポーツなどの自発的身体活動によって消費するエネルギー代謝量。1日の総エネルギー消費量に占める割合は約30%。

しかしながら、1日の総エネルギー消費量は、活動量(スポーツをする人にとっては競技やトレーニングの量)、体格、年齢、性別などさまざまな因子の影響を受けます。

たとえば、トレーニングを行った日と行わなかった日とでは、1日の総エネルギー消費量の内訳も当然変化します。

1日の総エネルギー消費量を正確に測定するのはむずかしいため、それに対応するためのエネルギー摂取量にはおおよその目安が設けられています。

1日あたりのエネルギー摂取量の目安

スポーツをする人
男性=3000~4500kcal
女性=2500~3500kcal

一般的な成人
男性=2250~3550kcal
女性=1800~2800kcal

あなたがスポーツをするのかしないのかで異なります。参考にするといいでしょう。

(つづく)