日本人の食卓には欠かせない「だし(出汁)」。味覚の中で、うま味の元となるだしを上手に使うことで、アミノ酸の摂取につながります。
「だし」といえば、植物性のコンブ、シイタケ、動物性のかつお節、煮干しが代表的です。その他に肉骨(豚骨、鶏骨など)や魚骨(アラを煮るなど)のだし、野菜などじっくり煮込むことでもだしが出ます。
うま味成分はアミノ酸で構成
それぞれの食品から出るうま味成分は違いますが、そのうま味成分はアミノ酸で構成されています。生体を構成するアミノ酸は20種類あり、そのアミノ酸が構成するのがタンパク質です。
生体に必要なアミノ酸をまんべんなく摂ることによって体タンパクは作られ、筋肉や臓器などの体の組織、ホルモンや酵素、血液なども作られていきます。サプリメントなどでアミノ酸を補給する方もいるかもしれませんが、天然のアミノ酸を摂るなら、だしを摂ればいいのです。
どんな時に摂ったらいいのか
それでは、アミノ酸は、どのような時に摂ったら良いのでしょうか。
肉や魚、大豆製品などに含まれるタンパク質は、アミノ酸がつながった大きい分子になっています。これが胃で消化され、アミノ酸やペプチドといった小さい形になって体内(血液や細胞内)に吸収されていくのです。
逆に言うと、タンパク質の状態では、アミノ酸の量をたくさん摂ることができますが、胃酸や消化酵素を使って消化分解する過程が必要になります。つまり、消化のためにエネルギーや素材(胃酸や消化酵素)を使わなければなりません。
疲労度が強い時、トレーニングの前後など
そのため、疲労が強い時、発熱や風邪の時、暑さで疲弊している時、トレーニングの直前、直後など、胃腸の機能が落ちている時や活発にできない状態の時は、タンパク質の状態よりもアミノ酸の状態で摂る方が良いといえます。早く吸収させて筋肉の回復を図りたいとして、トレーニング直後に摂るのも有効です。もちろん、胃腸の機能が強い、問題ない場合であれば、タンパク質(食材やプロテイン)の状態で摂っても消化できるので大丈夫です。
夕食の時間が遅くなってしまう時、試合と試合の間、体調がすぐれない時は「消化の良いものを食べましょう」と言われます。「消化に良いタンパク質=消化にエネルギーを使わないアミノ酸」と捉えると、分かりやすいと思います。
合わせだしでうま味が7倍
そこで、料理で使えるアミノ酸摂取源としてオススメなのが「だし」。2種類以上の食材を合わせる「合わせだし」にすると、うま味が7倍にもなるとのこと。ぜひ組み合わせて作ってみてください。
今回紹介するレシピは「野菜のかき玉あんかけ丼」です。かつおとコンブのだしをベースに、じっくり煮込んだ野菜やキノコからも、だしがにじみ出ています。タンパク質も適度に含んでいるので、夜遅めの食事や練習前に少し食べたい時、朝食にもオススメです。
簡単に作れ、だしのうま味がほっこりする味になっています。ぜひお試しください。