貧血になると、アスリートは体力の低下、集中力の低下から始まり、パフォーマンスの低下に大きく関わってきます。アスリートの貧血の指標である「ヘモグロビンの他にフェリチン(貯蔵鉄)を血液検査で調べる」ということが数年前に比べて広まってきてはいますが、まだ貧血についての認識不足も感じられます。ここで改めて、貧血の指標の見方に関して書いていきたいと思います。

赤血球やヘモグロビンの数値の単位

まず、血液データの見方についてです。一般的に赤血球数は「万/μl」という単位で表されますが、これは血液1mm立方の中に何万個赤血球があるかを示しています。1mm立方に何万個も存在すると想像すると、血液中に赤血球がとても多く存在していることが分かると思います。

赤血球がビーズクッションだとしたら、その中に入っているビーズがヘモグロビンです。このヘモグロビンは「g/dl」という単位で表されます。これは1dl(100ml)の血液中に何gヘモグロビンがあるかを示しています。こういった単位を理解し、想像することで生理学などの理解も進みます。

タンパク質と鉄の他にも必要な栄養素

ビーズクッションのビーズに当たるヘモグロビンは、タンパク質と鉄から作られており、鉄の部分に酸素が結合して、全身に酸素を運ぶという赤血球の働きを担っています。

赤血球が形成される段階ではタンパク質と鉄の他に、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸といったビタミンB群も必要です。厳密にいうと、さらに別のビタミンやミネラルも必要になってきますが、今回は割愛して説明します。さらに、赤血球が働くためのエネルギー源は糖質です。

これら赤血球やヘモグロビンが不足している状態を「貧血」と言いますが、貧血に至るまでに関わっている栄養素はこのように様々です。「貧血=鉄不足」と思われがちですが、鉄以外の栄養素が不足している可能性も考えなければなりません。また栄養素の摂取量は足りていても、うまく吸収できていないことも考えられます。

偏った食事を整えメンタルも安定

血液データを見て、どの栄養素が不足しているか、または吸収できていないのかを判断して、改善のための手段を探ります。極度の貧血の場合(ヘモグロビンが男性12以下、女性11以下)は、鉄剤の投与を優先することもありますが、いずれにしても偏った食事を整えていくことと、メンタルを安定させること、つまり自律神経の安定が大切になってきます。

「貧血=鉄不足」だけに捉われず、俯瞰的に生活や食事を見直していきましょう。

今回紹介するレシピは「赤身肉とタマネギのハンバーグ」です。赤身肉は鉄や亜鉛、ビタミンB群などの栄養価が豊富です。牛肉は他の肉に比べて高価なので頻繁に使えませんが、比較的安く手に入る合挽き肉を使って月数回食べられると良いでしょう。

具はタマネギ主体で簡単に、赤身肉のうま味を味わうレシピです。ぜひお試しください。

管理栄養士・園部裕美