体を大きくしたい、背を伸ばしたい、体重をキープしたいというアスリートは多くいると思います。学生やジュニアアスリートでは、「ご飯を○g食べなければならない」というルールを設けるなど、食事量にノルマを課しているチームもあるかと思います。

食べたものを消化・吸収できているか

確かに、たくさん食べることができる選手は体が大きく、身長も伸びている傾向にあります。これは、胃腸の機能の強さに差があると考えます。同じ量を食べても、吸収されているかどうかは別の問題です。食べたものをきちんと消化・吸収できている選手が、体作りがうまくできているのです。

消化吸収のキャパが小さく食べられない

反対に、体が小さい選手は食べる量が少ないことが問題と思われがちですが、そうではなく、たくさん食べても消化・吸収できるキャパが小さいので、量をたくさん食べられないのです。そういった選手に、無理矢理食べさせることのメリットはほとんどありません。「食事の大切さに気づく」と良い方向にむく場合もありますが、多くは無理矢理食べさせられることがストレスとなり、「食べること=辛いこと」になってしまうかもしれません。

胃腸の強さには、様々な要因が絡んできます。普段の食生活や生活習慣はもちろん、体質や性格(考え方)、胎児の頃の母親の栄養状態なども影響してきます。兄弟姉妹でも違いがあります。良い悪いということではなく1つの個性ととらえて、その選手にとって最適な量を探していくことが重要です。

「自分に合った食事」を自分で決める

中高生以上になれば、指導者や保護者に決められた量を食べるだけでなく、自分自身の体と向き合って、自分で量を決めていくことが大切です。もし、「食べるのが面倒」といった理由で食べなければ、困るのは本人です。より強い選手、より強い体や心になるには、食事を整えていくことが絶対に必要なわけで、それを理解すれば、選手自身で「自分に合った食事」を見つけていく努力をするでしょう。

この「自分に合った食事」を考えていくことは、自己管理能力にもつながります。体重の増え方、身長の伸び方、体型、体調、寝起きや便の状態、体力…など、様々な方面から自分自身の体を確認し、それによって食事量を調整していきます。

今の時代、ネットを検索すれば、「どのくらい食べれば良いか」といった情報はいくらでも出てきます。ただ、それらに振り回されず、自分に合った情報を取捨選択することも重要です。自分に適した食事量を知るためには、まず基準値から始めて微調整したり、現在、食べている量や食べている栄養の種類を見直したりするのでも良いでしょう。

今回は、概論のような話になってしまいましたが、「個人によって消化・吸収できる量も、必要な量も違う」ということを知って欲しいと思います。

今回は「鶏むねチャーシュー」を紹介します。高タンパク低脂質でアスリートもよく食べている鶏むね肉を、ニンニク、ショウガと調味料で軽く煮込むメニューです。ゆで卵を一緒に漬けて煮込んでもおいしく出来上がります。煮汁は、炊き込みご飯や煮物にも使えます。

管理栄養士・園部裕美