肌寒くなってくると、恋しくなるのがスープ。あたたかなスープをふうふうしながら食べていると、身体もぽかぽかに温まりほっとするもの。これからの季節には、大人気の料理ですね。
イタリアにもさまざまなスープ料理がありますが、その中でも特に有名なのが「ミネストローネ」。野菜がたっぷり含まれてヘルシー、日本でもおなじみのスープです。
ところで、日本でよく見かけるのは色鮮やかなトマトベースのミネストローネ。トマトジュースやホールトマトなどの加工品が普及する中で、トマトベースのものが定番となったようです。トマトにはグルタミン酸が多く含まれるため、うま味がたっぷり。手軽においしく作れて、誰にでも好かれる味わいに仕上がるので、日本ではトマトたっぷりのミネストローネが定番となったのでしょう。
イタリアでは「食べるスープ」、味も具材も自由
しかし、イタリアのミネストローネはちょっと事情が違います。ミネストローネは、基本的に野菜をたっぷり使った「食べるスープ」。特に決まったルールはなく、地方や季節、また家庭によって使う材料が異なります。トマトベースのものもありますが、ホールトマトでなくフレッシュのトマトを使うレシピや、トマトを全く使わない、というミネストローネも数多く存在するのです。
ミネストローネに共通するのは、具がたっぷりで汁っぽさが少なめの仕上がりを目指すこと。地方によっては、米を入れたり、豆を入れたり、パスタを入れたり…というお約束事が存在します。炭水化物である米や豆、パスタを入れると、主食、主菜が一皿で完了できます。これをイタリアでは「ピアット・ウニコ」と呼び、家庭料理ではよく登場するメニューです。
今回紹介するのは、たっぷりの野菜、そしてパスタを一緒に煮込んだミネストローネ。野菜はできるだけ種類を多めに選んで使うのがポイントです。いろいろな野菜から出てくるうま味で、複雑な味わいになります。生ハムやベーコンなどの動物性のだしもプラスすると、よりスープが美味しくなり、コンソメキューブは必要なし。冷蔵庫の中に残っている使いかけの野菜をザクザク切って煮込んでしまう、そんな感覚で気楽に作ってみてください。
タマネギやニンジン、セロリは、ミネストローネにうま味をのせてくれる食材。できれば入れるようにしてください。また、アクの強いホウレン草のような野菜を入れる場合は、下茹でをしてから仕上げに加える、という作り方がオススメです。