緑黄色野菜の代表格のブロッコリー。原産地は地中海沿岸と言われ、青汁の原材料として有名なケールの仲間です。
花のつぼみの集合体であるため「花野菜」と呼ばれますが、このような形になったのはイタリア半島での品種改良によるものと言われています。ブロッコリーによく似た野菜のカリフラワーは、実はブロッコリーから突然変異で派生した植物だそうです。
ブロッコリーもカリフラワーも、日本に伝わったのはほぼ同時の明治時代ですが、一般に普及したのは洋食文化が広がるようになった第2次大戦後。初めはクセのないカリフラワーのほうが受け入れられ、ブロッコリーを生産する農家は少数でしたが、1980年代に健康への意識が高くなると、その栄養価が注目され、生産量が逆転しました。
ビタミンエース(ACE)が豊富
ブロッコリーはたくさんの栄養素を含んでいますが、特にビタミンA、C、Eが豊富です。この3種のビタミンは「ビタミンエース(ACE)」と呼ばれ、同時に摂取すると吸収率がアップし、互いに良い作用をもたらすと言われています。
アメリカのデザイナーフーズという区分けでは、ブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科の植物には抗ガン作用がトップクラスの野菜という格付けになっています。これは抗酸化成分であるβカロテンやルテイン、グルタチオンによるもの。抗酸化作用が高いということは、疲労回復にも効果があるとされています。
一方で、緑の濃いものにはつきものの、シュウ酸も多く含まれています。シュウ酸は体内のカルシウムイオンと結合しやすく、筋肉痛や筋力の低下をもたらすとも言われているので、「よく水洗いする」「加熱して摂取する」ことをおすすめします。
イタリアでは“クタクタ”“トロトロ”
さて、ブロッコリーの原産地といわれる地中海沿岸、イタリアではどう食べられているのでしょうか。
下茹でしたものをグラタン皿に並べ、チーズをのせて焼いたり、やわらかく茹でて卵焼きに入れたり、トロトロになるまで加熱してパスタソースやリゾットに加えたり…。日本のようにさっと茹でるというより、しっかり茹でて食べることが多いのですが、これは野菜はしっかり加熱してから食べるという、昔からの習慣によるものです。日本ではあまりしない調理法ではありますが、クタクタになるまで加熱したブロッコリーは、うま味が引き出され、びっくりするくらいに美味しいのです。
ということで、今回は「ブロッコリーソースのスパゲティ」を紹介します。ブロッコリーさえあればできる簡単レシピ。パスタを茹でている横で、フライパン1つでソースが完成します。ぜひ美味しいオリーブオイルを加えて作ってみてください。
イタリアのサッカー選手も練習後にはブロッコリーやトマトだけを使った、消化に良い野菜ベースのパスタを食べることも多いそうです。1日の終わりの夕食としても、オススメのレシピです。