<チーズの話(1)>

 世界中で楽しまれている「チーズ」。特にヨーロッパでは「白い肉」とも呼ばれ、良質なタンパク質、ビタミンやミネラルを含む食品として、とても身近な存在です。味わいはもちろんのこと、見た目や形状などさまざまな種類があります。

 日本の家庭の冷蔵庫にも、必ずといっていいほど入っていますが、身近すぎて、実は種類の違いや栄養価をよく知らないという声も聞きました。ここで改めて「チーズ」とはどんな食品なのか、どんな栄養があるのか、どう食事に取り入れていったらよいのかをひもとき、3回に分けてお届けします。

海外のチーズショップの風景
海外のチーズショップの風景

チーズの定義

 チーズがミルクから作られる乳製品であるということは、ご存じだと思いますが、その定義をおさらいしましょう。

 FAO/WHO(食糧農業機関/世界保健機関)によると

 「チーズとは、フレッシュまたは熟成した、固形または半固形の製品であり、下記のいずれかに基づき製造されたもの。

(a)レンネットまたはその他適当な凝固剤の作用により、乳、脱脂乳、部分脱脂乳、クリーム、ホエイクリーム、バターミルクまたはこれらのどんな混合物であっても、それらを凝固させ、この凝固物より分離するホエイを部分的に流出せしめることで得られるもの。

(b)乳及び、または乳から得られる原料を用い、凝固を引き起こす加工技術により(a)に限定されている製品と同じ化学的、物理的、官能的な特徴をもつ最終的な製品」とあります。

 つまり、「家畜の乳(または乳からできるクリームなどの製品)を凝固させてから水分を取り除いたもの」が「チーズ」である、ということです。

海外のチーズショップの風景

チーズの種類

 チーズには、大きく分けて「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の2種類があります。

ナチュラルチーズ
 ナチュラルチーズは、原料となる乳(牛や羊、ヤギなど)に乳酸菌や酵素を加えて固めたものを発酵・熟成させて作ったもので、いろいろな状態のものがあります。日本では大きく7タイプにわけて分類しています。

フレッシュタイプ
 乳に乳酸菌や酵素を加えて凝乳させたものから水分を軽く切ったもの。ほとんど熟成をさせない、水分多めな柔らかなチーズ(カッテージチーズ、モッツァレッラチーズなど)

白カビタイプ
 表面に白カビをつけて熟成させたチーズ(カマンベール、ブリーなど)

青カビタイプ
 チーズ内に青カビを繁殖させて熟成させたチーズ(ロックフォール、ゴルゴンゾーラなど)

ウォッシュタイプ
 チーズの表面を塩水やその地方の酒などで洗いながら熟成させるチーズ(ポンレヴェック、タレッジョなど)

シェーヴルタイプ
 原料にヤギのミルクを使ってつくるチーズ。実は牛のミルクで作るチーズより歴史は古い(クロタンなど)

セミハードタイプ
 凝乳した部分(カード)に圧力をかけて、さらに水分が少なめにしたチーズ(ゴーダ、ラクレットなど)

ハードタイプ
 セミハードよりさらに強い圧力をかけて、水分をさらに抜いたもの(パルミジャーノ、グリュイエール、エメンタールなど)

プロセスチーズ
 これに対してプロセスチーズは、1種類または数種類のナチュラルチーズを混合し、加熱・加工して作ります。加熱すると、ナチュラルチーズに含まれていた乳酸菌やカビの活動をストップさせるため、長期保存が可能で味わいも一定してきます。

 形も色々加工できるため、キュープチーズやスライスチーズなどの商品が数多く販売されており、日本でもおなじみですね。プロセスチーズは1900年代にスイスで開発された、比較的歴史の浅いチーズです。

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 ここまでで、チーズにはたくさんの種類がある、ということがお分かりいただけたでしょうか。

 それでは栄養的に考えた場合、どんなチーズを、どのように食べていったらよいのか…次回は、チーズのタイプ別に栄養成分を掘り下げていきたいと思います。