<チーズの話(2)>

 チーズには、ミルクに含まれる栄養成分が丸ごと凝縮されています。また、肉や魚と違い、調理をせずにそのまま食べることができます。ビタミンCと食物繊維以外が含まれる、栄養価が高い理想的な食品として「準完全栄養食品」と呼ばれています。

主成分はタンパク質、脂質、ミネラル

 チーズの栄養分のうち、主成分となるのは「タンパク質」と「脂質」「ミネラル」です。

タンパク質
 タンパク質は、筋肉や血液、細胞を生成するために必要不可欠な栄養素。チーズに含まれるタンパク質は、乳酸菌による発酵により、体内に消化・吸収されやすくなっているといわれています。ヨーロッパではチーズを「白い肉」と呼び、身近で美味しいタンパク源として親しまれています。

脂質
 脂質は「カロリーが高く太る」というイメージがつきまとい、しばしば悪者にされる成分ですが、血液やホルモンの成分として利用されたり、細胞膜や粘膜の構成材料になるといった重要な役割があります。実はチーズには、脂肪をエネルギーへ変える働きをもつビタミンB2も一緒に含まれており、脂肪の燃焼を助けてくれます。ビタミンB2は疲労回復を手助けしてくれる役割もあり、アスリートには必要不可欠な栄養素の1つです。

ミネラル
 チーズに含まれるミネラル分のうち、最も注目すべきものは、カルシウムです。カルシウムには骨の形成や神経や血圧、筋肉の収縮のバランスを整える効果があり、特に成長期には最も必要なミネラル分といえます。カルシウムは食材によって吸収率がまちまちで、野菜類に含まれるものは10~20%しか吸収されません。カルシウムはタンパク質と一緒に摂取すると吸収率が上がるといわれており、チーズのカルシウム吸収率は50~60%と、牛乳や小魚類より高い吸収率となっています。

さまざまな種類のチーズ

種類別における栄養の特徴

 チーズの栄養は、原料となる乳の種類(牛乳、ヤギ乳、羊乳など)によっても異なりますし、作る工程や熟成期間などによっても違ってきます。

 前回、チーズには大きく分けて
・「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」がある
・「ナチュラルチーズ」にはその性質の特徴から、7つのタイプがある

 と説明しました。では、種類別に栄養分はどのように違うのでしょうか。

 チーズは発酵後に水分を抜いて作りますが、タイプによって水分を抜く量が違ってきます。フレッシュタイプは軽く、ハードタイプになると大きな機械を使い、圧搾してしっかりと水分を抜きます。まず、この凝縮具合で原料乳の栄養成分が大きく異なります。さらに、その後の発酵・熟成期間に乳酸菌や酵素、カビなどの活動によっても栄養成分が異なってきます。

タンパク質が多いのは?
 水分が少なめなセミハード、ハードタイプ。エダム、エメンタールなどは100g中に27~28gのタンパク質を含みます。さらに高いのはハードタイプのパルミジャーノ。なんと100g中に44gのタンパク質を含んでいます。

カロリーが低い、高いのは?
 カッテージチーズ、リコッタチーズなどの水分が多めなフレッシュタイプは相対的にカロリーが低めです。メーカーによって差がありますが、多くはプロセスチーズの半分くらいのカロリーです。

 反対にカロリーが高いのは、ハードタイプのもの。エメンタールやパルミジャーノなどの硬いチーズは、プロセスチーズよりややカロリーが高めです。

ミネラルが豊富なのは?
 チーズに豊富なミネラル分「カルシウム」もタイプによって含有量が異なります。エメンタールやパルミジャーノなどのハードチーズには、プロセスチーズの約2倍のカルシウムが含まれています。

 またカルシウムを摂取するときに一緒にとりたいビタミンDは、ブルーチーズに多く含まれています。ブルーチーズにはビタミンB6も豊富に含まれています。