刺身やお寿司、フライにてんぷら、とさまざまメニューに登場する「イカ」は、日本人にとって身近な魚介類です。実はとても種類が多く、食用のものだけでも20種以上生息しているといわれています。
イカの種類を大きく分けると、スルメイカのように細長い筒状の「ツツイカ類」と、スミイカなど甲がある「こういか類」となります。日本では、近海で捕れるスルメイカ、ヤリイカ、アカイカなどのツツイカ類の方が身近な存在でしょうか。
以前は、「イカはコレステロールが高いので注意して食べるように」と言われたこともありましたが、イカのコレステロールは善玉コレステロールであること、人間が摂取しても血中のコレステロール値に作用することがない、ということが最近の研究で分かりました。また、イカに含まれるタウリンには、悪玉コレステロールを下げる力があることも明らかになっています。
むくみ防止、視覚改善効果も
低カロリーで高タンパク、タウリンを豊富に含むイカは、普段の食事にもっと取り入れたい食材です。
タウリンは、含硫アミノ酸から代謝された最終産物で、人間の体内でも合成されています。体内を循環する性質があり、アミノ酸が不足している部分を補います。
主に海産物、特にイカやタコなどの軟体動物が海水の塩分から身を守るために多く含んでいるといわれ、疲労回復効果、血圧を下げる効果、悪玉コレステロールを減らす効果だけではなく、むくみ防止や、視覚改善の効果もあります。
今回は、ヤリイカを使ったトマト煮込み「イカのトマト煮込み 」を紹介します。イタリア中部のトスカーナ地方では、イカをトマト煮込みする際にホウレン草を加えて作ります。イカを煮込むと独特のうま味が全体に広がりますが、加えたホウレン草がそのうま味をしっかりと吸ってくれます。色合いもグリーンが入って、ぐっと華やかになりますし、栄養バランスも良くなります。現地では残ったソースをパンにたっぷりつけていただきます。
余談ですが、イカはイタリア語で「カラマリ(ツツイカ)」「セピア(コウイカ)」と呼びます。コウイカから取れるイカ墨もセピアと呼びます。かつてモノクロ写真に黒褐色のインクを使っていた時代、退色して淡い茶褐色になった写真をセピア色と呼ぶようになったのも、この語源に影響されているそうです。