カトリックの国、イタリアではクリスマスに次ぐ大きな行事、パスクワ(イースター。キリストの復活を祝うお祭り)が過ぎると、ようやく春。4月も後半になると、街の青空市場や八百屋にはソラ豆が出始めます。

 イタリアでもソラ豆やグリーンピースは春の一時期にしか出回らないため、旬の時期には家庭でよく食べられます。柔らかくゆでてパスタと合わせたり、ピューレにしてスープにしたものにパスタに入れたりして、旬の味わいを楽しんでいます。

 日本ではまず生で食べることがありませんが、驚くことにイタリアでは、出初めの若いソラ豆を「生のまま」食べるのです。

チーズと交互にかじりながら

 生食するものは、日本のものとは違い、さやも細長く、豆自体も小さめ。面白いのは、古代ローマ帝国の文化圏であった一部の地域だけで食べられていることです。ローマ近郊では「5月1日はソラ豆の日」といって、生のソラ豆を羊のミルクで作ったチーズ、ペコリーノと合わせていただきます。

 生のソラ豆は青味あふれる味わいで、塩味の効いたチーズと交互にかじっていただきます。生で食べるのでフレッシュ、獲れたてであることが第一条件。市場にソラ豆を買い求め、チーズと一緒にかじりながらワイングラスを傾ける…そんな春ならではの風景が、5月の訪れを感じさせてくれるのです。

ソラ豆の煮込み

 ソラ豆は、大豆やインゲン豆などと違って、さやが上に向かって伸びていくことから「ソラ豆」と名付けられました。豆ですので、植物性タンパク質が含まれることはもちろん、カリウムやマグネシウム、リンや鉄などのミネラルも豊富に含まれています。汗をかき始めるこれからの季節、ミネラル分の補給は気になるところ。また、消化促進や血行を良くするビタミンB群も豊富です。

ソラ豆の煮込み
ソラ豆の煮込み

 今回紹介するレシピは「ソラ豆の煮込み」。さやから出して、薄皮ごと調理して食べるイタリアの島部の食べ方です。生ハムのうま味と塩分、ワインの酸味をプラスしながらじっくり煮たソラ豆は薄皮も柔らかくなり、中はふわっとしています。薄皮も食べることで食物繊維の摂取もアップ。冷めてもおいしくいただけ、作り置きもできます。ぜひ、春の柔らかいソラ豆で作ってみてください。