正しい方法で手を洗う

 およそ30秒で、インフルエンザやノロウイルスを効果的に予防する方法があります。それは「正しい方法で手を洗うこと」です。

 12月は冬季スポーツも本格化する一方、受験を直前に控えるなど重要な時期。毎日の衛生習慣で感染を防ぎ、冬を元気に乗り越えましょう。

12月に患者数急増

 気温の下がる冬は体の抵抗力が弱りがちなので、感染への注意が必要です。例年、インフルエンザの患者数は12月以降にピークを迎えます。昨年に厚生労働省が発表した数値では、11月から12月にかけての約1カ月間で、患者数が約5・5倍に急増しました。10月24日~11月27日に2万5051人だった全国の患者数は、11月28日~1月1日では13万6461人に増加しています。

 ノロウイルスも同様です。厚生労働省の資料で15年を見ると、10月に349人だった患者数が11月には1057人となり、12月には1204人に増えています。

 ウイルスの侵入を防ぐには、感染経路の遮断が重要です。日常生活での感染経路は、多岐にわたります。

感染予防には手指の洗浄が有効

 代表的な経路は、くしゃみやせきで排出された病原体が鼻や口から感染する「飛沫(ひまつ)感染」、汚染された物に触って感染する「接触感染」、口から食べ物とともに感染する「経口感染」など。中でも「接触感染」「経口感染」の予防には、病原体の感染経路を遮断することが重要です。そのために運び屋となる「手指の洗浄」が有効だと言われています。

 国立医薬品食品衛生研究所の発表によれば、ハンドソープで10~30秒のもみ洗いを行った後に流水で15秒のすすぎを行うと、手についた雑菌の量は約1万分の1に減少しています(手洗いなしと比較した場合)。さらに手洗いの後、アルコール消毒剤による殺菌・消毒を行うことで大幅に菌を減らすことができます。

 次のページで、せっけんやアルコール消毒液を使った正しい手洗いの方法を解説します。