周囲を海にぐるりと囲まれたイタリア。ですが、流通の良くなかった時代は魚は高級品として扱われ、魚介類は海岸部でしか食べられませんでした。海水魚は内陸部では入手が困難だったため、川魚やタラの加工品(干したものや塩蔵品)を消費していました。日本と全く同じですね。
現在は流通が進化したため、山の中でも海水魚、大型魚なども入手できるようになり、レストランなどでは、さまざまな魚介類が提供されています。とはいえ、調理法は焼く、煮る、揚げる、などシンプルなものばかりで、生食は一般的ではありません。フランス料理のように、複雑なソースを添えていただく、というよりは、日本の家庭料理に近い調理法が多く、とても親近感を覚えます。
イタリアでは魚料理はご馳走
流通が良くなったとはいえ、いまだイタリアでは、肉に比べて魚介類は値段が高く、「魚料理はご馳走」として、魚料理の専門レストランはとても人気があるそうです。キリスト教徒が多いイタリアでは宗教的に肉を食べてはいけない日があるため、魚という食材はとても重要視されています。
今回紹介するのは、サケをつかった魚料理「サケとキノコのトマト風味」。現地では、川魚やカジキなどを用いることが多く、すりおろしたチーズを加えたパン粉をまとわせてから魚を焼き、トマトソースでさっと煮込みます。パン粉が魚をコーティングしているため、煮込んでも魚がパサパサになりません。
サケは消化吸収のよいタンパク質が豊富な上、脳細胞を活性化させるEPAやDHAが含まれています。さらにタンパク質の代謝にかかわるビタミンB6も備えているため、効率よく吸収、代謝することができます。また、赤身の魚には筋力アップに効果的な成分、クレアチンが含まれており、サケはアスリートに最適の食材とも言えます。
煮込む際にキノコやトマトを加えることで、うまみ成分がプラスされるので、塩分を控えても美味しくなります。トマトソースをしっかり吸いこんでいるので、冷めてもおいしく食べられます。お弁当のおかずにも、ぜひご活用ください。