アスリートは「ケガ」予防のために、毎食、バランスの良い食事の基本の形(「意識しようバランスの良い食事の基本の形」参照)を整えるようにしたいものです。しかしながら、どの競技でもケガの危険性は常にあり、完全に回避できるとは限りません。ケガをしてしまった場合、少しでも早く、しっかり治すために、適切な治療とともに回復を早めるための食事をとりましょう。
私たちのカラダは約60兆個の細胞からできていて、毎日少しずつ生まれ変わっています。どんな種類のケガをしたとしても、新しい細胞を作るためにタンパク質とビタミンCを積極的に摂るようにします。タンパク質は、肉・魚・卵・大豆加工品・乳製品などから良質なタンパク質を、ビタミンCは野菜や果物から摂ります。
ケガによって他の栄養素もプラス
「骨折」の場合は、骨の材料となるカルシウムとカルシウムの吸収率を上げるビタミンDも積極的に摂るようにします。
カルシウムは牛乳やヨーグルトなどの乳製品、シラスや干しエビ、海藻類のほか、モロヘイヤ、大根、カブの葉、小松菜などの緑黄色野菜などから。ビタミンDはキクラゲや干しシイタケ、サケ、卵などに多く含まれています。骨折した時は運動ができないので、太らないように食事のカロリーを控えます。
「肉離れ」をした場合は、筋肉の修復のためにタンパク質とタンパク質の吸収を高め、代謝に関与するビタミンB6を積極的に摂ります。
ビタミンB6は、マグロ、カツオ、サケ、レバー、鶏肉などに多く含まれています。これらの魚類や鶏肉はタンパク質とビタミンB6が両方含まれているので、ぜひ活用してください。
ねんざやつき指など、「関節、腱、じん帯を痛めた場合」は、コラーゲンとビタミンCを意識的に摂り、軟骨・腱・じん帯の強化をします。通常は必要なタンパク質とビタミンA、Cを摂っていれば体内でコラーゲンを合成し、不足することはありませんが、ケガをした場合は意識的に摂ることによって回復力を高めていきましょう。コラーゲンを多く含む食品としてはゼラチン、鶏手羽、フカヒレ、牛スジ、鶏皮などがあります。鶏ガラや牛テールや豚骨などのスープにも含まれています。
写真は「鶏手羽中の黒酢炒め」です。手羽肉はタンパク質、コラーゲンを含んでいます。酢に含まれる酢酸は体内でクエン酸に変化します。クエン酸はコラーゲンの吸収を高めるといわれており、冷めても美味しく食べられるのでお弁当のおかずにもオススメです。