運動をする時に絶対欠かせないミネラルの1つが「マグネシウム」です。体内の300種類以上の酵素反応の補酵素として働いており、ほとんどすべての代謝や体内の反応に必要で、生きるために欠かせないミネラルです。
まずは、マグネシウムが体内でどのような状態で存在し、吸収され、役割を担っているのかを説明します。
体の中では5%が骨に、40%が筋肉および軟組織に、1%が細胞外液に存在します。血液中のマグネシウムの濃度は常に保たれていて、量が減ると骨に貯蔵されたものが溶け出て、利用されます。
食べ物から摂ったマグネシウムは20~70%が小腸で吸収され、全身に運ばれて利用されます。吸収率は、摂取量が多ければ低下し、少なければ高くなります(現状、吸収や代謝に関してすべてが明らかになっているわけではありません)。
筋収縮や骨の形成に関与
アスリートに関わる反応としては、主に筋収縮や骨の弾性維持。そのほか、神経伝達、体液の平衡維持、ホルモン分泌、酵素活性によるエネルギー産生に関わる体温や血圧の調整などにも機能しています。不足すると、骨粗しょう症や筋肉収縮異常、心疾患、不整脈、精神疾患(うつやイライラ)などが起こります。
汗からの排出が増えた時に不足しがちなので、大量の汗をかいた時や暑い季節に足がつりやすいのは、マグネシウムが排出されていることも1つの要因と言われています。
割合「2:1」が理想
マグネシウムは、カルシウムとバランスをとって生体内で働くため、カルシウムを摂る時はマグネシウムもセットで摂った方がより良いでしょう。心疾患の予防の観点から「カルシウム:マグネシウム=2:1」の割合が理想とされています。
煮干し、シラス干し、桜エビ、木綿豆腐(がんもどきや厚揚げ含む)、納豆、ワカメ、ヒジキ、アオサ、青のりには、マグネシウムとともにカルシウムも多く含まれています。「マグカル(マグネシウム&カルシウム)」を摂るためには、このような食材を“ちょい足し”する意識をもつと良いですね。一方、カルシウムの多い乳製品を摂るときは、マグネシウムを含む食材を合わせてとることをお勧めします。
今回紹介するのは「マグカル」がたっぷり摂れる「豆腐と納豆のお好み焼き」です。ほとんど粉を使っていないので、軽めのおかずとして食べられます。
マグネシウムを食品から摂った場合、過剰摂取はそれほど心配いりません。摂りすぎた場合は、吸収が抑制されて下痢を起こして排泄されます。サプリメントなどからの摂取の場合、成人で1日350mgの上限量が設けられていますが、過剰症として下痢になる(マグネシウムは下剤にも使用)ので、減らすようにしましょう。
【管理栄養士・園部裕美】