たくさんのエネルギーを作り出すアスリートは、たくさん食べなければ、エネルギーが追いつかず、疲労がたまったり、やせたりしてしまいます。
しかし、元々食が細くあまり食べることができない、練習量が増えると脱水などの症状が進み、食欲が落ちて食べることができないという選手や保護者から多くの相談を受けます。そんな選手の場合、優先すべきは、頑張って食べることではないこともあります。
食べられない原因を考える
そもそも、なぜ運動量が多いのにあまり食べられないのでしょうか。様々な要因がありますが、胃酸不足や消化酵素不足、タンパク質不足が考えられます。
●急激に食事量が増え、胃酸や消化酵素の分泌が追いつけなくなってしまった。
●慢性的なタンパク質不足(ご飯にふりかけだけ、麺類ばかりなどの食生活)が原因で、消化酵素を作る材料が足りない。
●脱水、体温上昇による食欲低下。
「暑さ」が原因なら胃腸の温度下げる
暑さによる食欲低下であれば、まずは胃腸の温度を下げてあげることが大切です。冷やしたトマトやキュウリなどの野菜を食べたり、水分をしっかり補給することが大切です(水のとりすぎは注意)。
肉食べてもたれるなら胃酸補助
暑さに関係なく食欲があまりない、肉を食べると胃もたれするといった場合は、胃酸や消化酵素不足が考えられます。胃酸はタンパク質を分解する消化酵素ペプシンを、ペプシノーゲンから変換させる働きがあるため、タンパク質の消化には必要不可欠です。このほか、鉄や亜鉛、マグネシウムなどのミネラルやビタミンB12や葉酸など貧血に関わるビタミンの吸収にも関与していることから、不足しているとアスリートにとって色々な弊害が出てきます。
タンパク質食品を食べて胃もたれする人、あまり大量に食事をとれない人などは、胃酸を補助することが大切です。その上で、徐々にタンパク質の量を増やしていきましょう。
胃酸はpH2の強酸性のため、補助する方法としては酸っぱいものをとりいれることが重要です。オススメしているのは、レモン水、酸っぱい梅干、リンゴ酢水、酸っぱい柑橘類(はっさくなど)で、これらを食事と一緒に摂るようにします。今回紹介する「レモンとミントの胃酸補助ウオーター」を一緒に飲むのもいいでしょう。
消化できるようになったらタンパク質増やす
胃酸が補助されて、徐々に消化がうまくできるようになってきたらタンパク質を増やしていきます。胃酸も、消化酵素も、元をたどればタンパク質からできているものなので、タンパク質の不足が改善してくれば、自力で胃酸や消化酵素を作り出すことができます。
食べられない時は、うどんなど食べやすいもの、食べられるものだけをとっていくのも、エネルギー補給としては1つの手ではありますが、消化力を向上するためには最適な方法とは言えません。胃腸の力(消化力)をつけるためには、タンパク質を不足させないことが最も重要です。そのためにも胃酸を補助する食べ物を摂取していきましょう。
これから暑い季節になると、さらに食欲が落ちてしまうと思います。その前に、胃酸を補助して「胃腸力=消化力」を上げ、暑い季節のトレーニングや試合に耐えられるように、食事もトレーニングしていきましょう。