<栄養素を無駄なく摂る食べ方:果物編>
アボカドは中南米地方原産と言われるクスノキ科の果実です。栽培され始めたのはいつからかはっきりしませんが、紀元前からあることは間違いないようです。日本に入って来たのは大正時代で、和名を「ワニナシ」と言います。
品種は1000種以上あると言われていますが、輸入されているのは「ハス種」のみです。ハス種は熟すと果皮が黒くなりますが、熟しても黒くならない品種もあります。日本でも一部の地域で、ハス種以外も栽培されています。
アボカドは追熟する果実なので、未熟なうちに収穫します。すぐに食べる場合は果皮が黒くヘタの部分が少し乾いて浮いている熟したものを、すぐに食べない場合は緑色のものを選びます。果皮にハリとツヤがあり、形のきれいなものが良品です。やわらか過ぎるものは避けます。
◆主な栄養素と無駄なく摂るコツ
アボカドは「森のバター」と言われるように、脂質が約20%と非常に多く、タンパク質、ビタミンE、ビタミンB群、カリウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、食物繊維などがとても豊富です。ギネスブックに「最も栄養価の高い果実」として登録されています。
脂質は不飽和脂肪酸が多く、酸化しやすいですが、ビタミンEが酸化を防ぎます。不飽和脂肪酸は摂りすぎると肥満につながりますが、LDLコレステロール低下作用があり、生活習慣病のリスクはほとんどないと言えます。とはいえ、アボカドは1個(可食部140g)で261kcalと高エネルギーです。食べ過ぎに注意し、食が進まない時などには上手に活用するとよいでしょう。
ミネラルが豊富ですが、カルシウムはあまり含まれていません。チーズやエビなどの魚介類との相性が良く、組み合わせて食べると吸収率が上がるうえ、栄養素バランスが良くなります。
期待される健康効果は、風邪予防、ガン予防、生活習慣病予防、血行促進、貧血予防、老化防止、美肌効果、腸内環境改善などです。
◆保存するなら
未熟な場合は20℃前後で追熟させます。リンゴと一緒にしておくと追熟が早まります。熟したらポリ袋に入れて密閉し、野菜室で保存して早めに食べましょう。5℃以下では低温障害を起こします。
切ったアボカドはレモン汁で褐変が防げます。使いかけのものは種を付けたままにしておくと、褐変を遅らせることができます。切り口にレモン汁をかけ、ぴっちりとラップで包んで冷蔵し、早めに食べましょう。
すぐに使わない場合はひと口大に切ってレモン汁をかけ、保存袋に入れて冷凍します。使うときは自然解凍し、ディップなどにします。1カ月ほどで使いましょう。
【管理栄養士・高木小雪】