2016年5月から、このコーナーでコラムを書かせていただいていますが、3月のコラム2回は「テニス栄養の総まとめ」とし、私の思いをお話しします。

テニスはキッズ(幼児)、小学生、中高生、大学生、社会人、プロ、そしてシニアまで生涯楽しめるスポーツです。3歳くらいから始めるキッズもいますね。今回は幼児期の食事についてお伝えします。

幼児期に身に付けたい「基本の食事」

幼児期の運動機能の発達は個人差がありますが、精神機能が目覚ましく、自我の発達とともに自己主張をするようになり、コミュニケーションも上手にとれるようになってきます。生活習慣、しつけ、社会性を育てるためにも、テニスをはじめスポーツというツールは、素晴らしいものだと思います。

この時期の食事のポイントとして、遊び食べをしない、好き嫌いしないように「基本の食事」を身につけたいところです。以下に挙げる幼児期の特性を頭に入れておきましょう。

咀嚼機能の完成により、適切な硬さの物を食べられるようになる。
消化機能が未熟だと食物アレルギーになりやすい(3歳児で3%、「応用栄養学」より)。
感染に対する抵抗力が低く、胃酸分泌も少ないため、しっかりと食器の除菌、食材の加熱調理をする。

おやつでご飯が食べられないはダメ

また、試合会場や練習の際に友だちとおやつ交換をしてご飯が食べられなくならないように、練習時間によってご飯の時間がいつもとずれる、確保できないということもないように保護者には配慮してほしいと思います。

何よりもこの時期は、偏食、食欲不信にならず、食事が楽しいと思えることが大切。次の点を意識することで、小学生以降のアスリートへの道につながると考えています。

食を楽しめ、何でも食べられるように

1、食が楽しい
2、行儀良く食べる。「いただきます」「ごちそうさま」が言える
3、作り手の好き嫌いで食卓に出さないといったことをせず、なるべく多くの食材を見て、香り、味わえるようにする
4、肥満ややせにならないよう適正量を把握する
5、練習前に軽い補食を、終了後には乳製品をとってから夕食を食べる

この先長く、テニスをプレーするためにもぜひ、実践してみてください。

今回は、お菓子感覚で食べられる補食「パワー全開3色おやき」を紹介します。サツマイモ、ジャガイモ、カボチャをベースにし、キッズに必要なカルシウムを乳製品で、タンパク質をツナで、鉄を小松菜で摂れるようにしています。食べやすいように一口サイズに丸めました。

1回の食事でたくさん食べられない、運動量や活動量が多く、1日3食の食事だけでは必要な栄養素がとりきれない場合は補食が必要です。おやつの時間にお菓子ではなく、とりきれない栄養素を「補う食事」として考えてください。

また、ただ栄養のことだけではなく、補食を通じて心身のリフレッシュも図れます。補食には次のような意義がありますので、今一度、考えてみてください。

1、栄養素の補給
2、さまざまな食材との出会い
3、友だちとのコミュニケーション
4、リフレッシュ

管理栄養士・山口美佐