アスリートにとって、食べたものからエネルギーを生み出せないのは致命的です。体力、集中力、瞬発力の低下や、作戦を瞬時に考えるなどの脳の瞬発力の低下につながり、ケガや病気にもなりやすくなります。
「スポーツ栄養」とは、「エネルギーをどう効率よく、持続的に生み出していくか」の追求だと言っても過言ではないと、私は思います。
エネルギーが上手に生み出せない理由として考えられるのは、次の要因があります。
(1)栄養が不足している
(2)栄養を胃腸できちんと吸収できていない
(3)栄養を取り入れても、体内で栄養をエネルギーに変換する機能が低下している
(1)の「栄養が不足している」に関しては、単に不足している栄養を補ってあげればいいだけのことなので、食事量を増やす、食事のバランスを整えることで比較的簡単に解消できます。
量もバランスも意識しているのに…
私がアスリートにアドバイスするときに重要視しているのは(2)と(3)です。量もバランスも整えて食べているのに、吸収できていなかったり、エネルギーに変換できなかったりするアスリートがいます。あくまでも私の経験則ですが、ほとんどが(2)と(3)ともに該当しており、次のような特徴があります。
●多く食べることがそんなに得意ではない
●下痢や便秘になりやすい
●甘い物が好き
●暑い季節やハードなトレーニングの後は食欲が低下する
●朝食はがっつり食べられない
●貧血気味
●カフェインを毎日とっている
●メンタルが不安定
まずはこれらを解消するために、胃腸機能を健康にしていくところから始めます。
良質な睡眠、リラックスタイムが重要
胃腸が動くのは、自律神経でいうと副交感神経が優位の状態、つまり、リラックスしているときです。試合やトレーニング(特に筋トレやハードトレーニング)、作戦を考えるなど、アスリートが活動的なときは交感神経が優位な状態なので、胃腸は動いていません。要するに、体を休める時間をしっかりとらないと副交感神経が優位にならず、胃腸もずっと動いていないまま、ということになります。
最近、「睡眠の質」についても重要視されているように、トレーニングばかりでなく、心身ともに休息できる時間を設け、メリハリをもって生活をしていくことは、胃腸機能の健康にも関わってきます。いくら食事を頑張っても、サプリメントなどで栄養素を補っても、体内で消化されなければ、意味がなくなってしまうのです。アスリートとしてのパフォーマンスアップのために、「胃腸」の動きを良くするために、リラックスすることの大切さを改めて考えてみましょう。
今回紹介するのは「キュウリの1本漬け」です。水分が95.4%と多く、「栄養がない野菜」と思われがちなキュウリですが、ほてった胃腸を冷やすためにはよく使う食材ですし、むくみを解消してくれるカリウムも含まれています。
暑い中のトレーニング後の食欲を促すには、一旦胃腸を冷やしてあげることが重要です。簡単に作れますし、見た目でもテンションが上がります。いつでも食べられるように常備しておいてもいいですね。どうぞお試しください。