真夏のように暑い日とグッと冷え込む日がしばらく繰り返され、ジメジメとした蒸し暑い時期に近づいていきます。気温や湿度の変化によって、心身ともにハードな時期を過ごしているのではないでしょうか。

私が「スポーツ栄養サポート」を行う静岡県内の高校や大学のサッカー、ラグビー、野球、卓球などのチームも練習が本格的になり、大切な試合もスタートしています。活動量が増えて食欲が落ちる選手も多く、食事量が減ってしまい、「思った以上に体重が落ちていた」と嘆く声も聞こえてきます。

どうしたら食べられるのか、考えよう

新学期が始まって少し落ち着いたこの時期は、栄養講座がよく開かれる時期でもあります。食事量や食事をとるタイミングなどを学習して、食事をとった方がいいことは分かっていても、ハードな練習の後は「食べたいけど時間がかかってしまう」「疲れすぎて食欲が落ちている」と悩むことも多いと思います。1人暮らしの自炊選手は「作るのが面倒」になってきます。

しかし、「食べられない」で終わってしまったら体は作れませんし、疲労回復もしませんし、ケガにもつながります。どうしたら食べられるか、「食べられる工夫」を考えていきましょう。

今回は「食が細い人、また練習直後に食べようと思ってもなかなか喉を通らない時の工夫」をお話ししていきます。

盛り付け、味わいなど工夫いろいろ

食事のバランスの理想は、主食・主菜・副菜が揃ったもの、いわゆる「定食タイプ」のものですが、皿数が多いと、茶碗をもって箸をあちこちに動かさなければならず、それだけで気持ちが萎える人もいるでしょう。洗い物も多くなり、作る負担も増えてしまいます。

それを解消するアイデアとして、主食の上に主菜や副菜をのせる「どんぶりタイプ」にすること、「ワンプレート」に盛り付けることが挙げられます。お寿司やちらし寿司も良いですし、冷やしうどんやパスタも具にタンパク質源と野菜を盛り込めば、食べやすく栄養バランスもアップします。麺類では、めんつゆの代わりにポン酢を使ったり、ねり梅、青シソ、ミョウガ、紅生姜、キムチなどの香味野菜をたくさん使ったりするのも食欲増進につながります。

また、食欲を沸かせるために、「ヨーグルトやフルーツ、梅干など酸味のあるものを先に食べる」という工夫をする選手も多くいました。簡単に食べられるように、手で持って食べられるものにするというのも有効です。

どうしても食べられないときは、少量でエネルギーがとれるもの、例えばエネルギーゼリー、ようかん、みたらし団子、ベーグル、餅など「これなら食べられる○○」をいろいろ試してみましょう。

今回は、疲れ切っていても食べやすい「缶詰と乾物で作るアサリとヒジキの炊き込みご飯」を紹介します。缶詰のアサリと、乾物のヒジキを調味料とともに炊飯器に入れて、スイッチを押すだけ。あらかじめ準備をしてタイマー予約をしておけば、練習後にすぐに食べられます。

多めに炊いて、おにぎりにしておくといいですね。お茶碗によそって主食としても、冷や汁(参考:中華風冷や汁)にしてもおいしいですし、食欲が沸きます。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・中野ヤスコ