成人してから骨密度を測ったことはありますか? 年齢が高くなると、骨粗しょう症が心配になってきますね。なかなか測る機会がなく、女性の場合、更年期障害で婦人科を受診したことで初めて骨密度を測定するという人もいます。
骨密度は20歳頃までは増やすことができますが、そこをピークに加齢とともに低下していきます。ピークの山が低ければ、早くに骨密度が低くなる可能性があり、成長期の10代でどれだけ骨を強くできるかがカギとなります。
一般的に運動は、骨密度を高めるために有効です。成長期や学生時代に運動をしていた人は骨密度が高いことが多いものの、中には低い人もいます。どんな人が骨密度の低い可能性があるのでしょうか。
女性で元審美系や持久系競技の選手
痩せ型の体型を維持する必要がある新体操などの審美系競技の選手や、マラソンなど長距離走の選手だった女性は、ハードな練習と食事制限により、骨密度を高めなければならない10代に月経が止まってしまうことがあります。無理な減量や、体脂肪率やBMIが低くなり過ぎることが原因です。
女性ホルモンのエストロゲンは骨形成にプラスに働きますが、月経がなければ、エストロゲンが分泌されないため、骨がもろくなり、疲労骨折などのケガにもつながります。10代で無月経の時期があった人は、大人になっても骨密度が低いケースが多くあります。
男性でも、マラソンやトライアスロンなどの持久系スポーツの選手は走行距離が長く、高強度の練習を行うことになります。必要な栄養が摂取できていない人は骨密度が低い傾向があるので、骨密度を確認しましょう。
元水泳部や室内競技の選手
骨密度は骨に重力がかかることで高まります。飛んだり跳ねたりして、適度に骨に刺激を与えるスポーツをやっていた人や、ウエートリフティングのような高負荷運動をしていた人は骨密度が高い傾向があります。
一方で、浮力により重力がかかりにくい水泳競技の選手は高強度の運動をしていながらも、骨への刺激が少ないため、骨密度が低い場合があります。最近は屋内プールが増え、日光に当たる機会も減ったため、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが活性化されにくいことも骨密度が低くなる一因です。
成人するまで痩せ型の人
体重が軽いと自重による負荷が少ないため、骨密度を十分高められないことにつながります。このような人が成人以降に体重が増えた場合、骨や関節に負荷がかかり、骨折だけでなく椎間板ヘルニアなど腰痛や膝痛になりやすいので注意が必要です。
運動に見合った栄養が摂れなかった人
骨は、長く伸びた後に密度が高まります。身長の伸びが止まった後も骨の成長は続いているのです。そこで食事をおろそかにしたり、親元や寮を離れて自分で食事を管理するようになったことで十分な栄養がとれなかったりして、骨密度を高められないケースもあります。
また、スポーツの練習量が多く消費エネルギーが多い場合、骨形成に関わるカルシウム、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質はもちろん、エネルギー(糖質や脂質)の摂取量が不十分な場合も骨形成に必要なエネルギーが不足し、骨密度が低い場合があります。
見た目と裏腹に骨スカスカのことも
元運動部だった人は、自分の体に自信があることが多く、骨密度も高いと思っている人がたくさんいます。しかし、骨の状態は見えません。体はガッシリしているのに、骨はスカスカということもなくはないので過信せず、骨密度を測定したことがない人は測ってみることをおすすめします。
大人になってから骨密度を高めることは難しいですが、現状を把握し、それ以上低下させないように栄養管理や生活習慣を整えることが大切です。必要であれば早めに治療を開始することが、骨粗しょう症の予防になります。