「練習前の補食は毎日エネルギーゼリーでも良いですか?」
中学生のある女子選手から、このような質問がありました。この選手の場合、練習が午後5時半に始まります。学校から帰宅後、着替えて準備をしたら、補食を食べてすぐに家を出なければなりません。
そこで私は、選手にこう問いかけてみました。
私:「エネルギーゼリーを利用するのはなぜ?」
選手:「エネルギーがとれるから」「食べやすいから」
私:「では、試合の時にエネルギーゼリーを利用するのはなんでだと思う?」
選手:「食べやすいから」「持ち運びしやすいから」
私:「食べやすいだけでなく、体の中で早くエネルギーが作られるように工夫されているんだよ」「消化が良いってわかる?」…
成長期は消化能力を鍛える
成長期のアスリートは「今」だけを考えるのではなく、自分のゴールに向けて、アスリートとしての体を作るということを意識しなければなりません。単に消化が良い、食べやすいものだけではなく、モグモグむしゃむしゃとあごを使って噛んで、消化、吸収する力(能力)も備えていかなければいけないのです。
プロの選手と話をしていても、特に増量したい選手にとっては、消化・吸収能力の有無が非常に大きく関係していると感じます。成長期のアスリートの皆さんはおなかの中もトレーニングをして、丈夫に鍛えていけると良いですね。
利用シーンを考えて補食を選ぶ
試合時や練習直前などすぐにエネルギー補給をしたい場合は、そのように加工されているゼリー飲料などの栄養補助食品を利用しても良いでしょう。常温で持ち運びもでき、外でも手を汚さずに食べられるのも利点です。
一方で、自宅で食べる補食としては「食べ物」をすすめています。おにぎり、パン、ビスケット、カステラ、和菓子などで、食べ物の中でも消化の良いものを選び、しっかり噛んで食べて内臓の力を鍛えて欲しいからです。
しかし、暑い季節になると、帰宅後すぐに口にするものは、エネルギーゼリーの方が食べやすく感じるのもわかります。そこで、地元の保育園で人気の「麹甘酒のフルーツヨーグルト」を紹介しました。
甘酒を加えることで無糖ヨーグルトの酸っぱさが弱まり、麹独特の香りも弱まります。ヨーグルト、麹のそれぞれが苦手でも、合わせると意外に食べやすくなるので不思議です。
果物加えたり、シャーベットにもしても◎
そこに、季節のフルーツ(今回はイチゴとキウイ)をプラスして、ビタミンCと食物繊維を追加しましょう。栄養面だけでなく彩りも良くなり、気分も高まって食欲もわきますね。
また、凍らせるとシャーベットのようにも食べられます。時間のある時に作り置きしておけば、自分だけでなく家族も一緒に食べられますね。
子どもでも安心、アルコール0%麹甘酒
日本伝統の甘味飲料である甘酒には、「麴甘酒」と「酒粕甘酒」の2種類があります。今回使用した、「麴甘酒」は、米麴と米だけ(または米麴のみ)で作られており、「酒」と言ってはいるもののアルコールは0%ですので、子どもが飲んでも問題ありません。
麹菌が産生するアミラーゼという酵素が、米麹や米に含まれるでんぷんを糖に分解して甘味を作り出しています。理科の授業で「でんぷんが酵素で分解される実験」を覚えている選手もいるのではないでしょうか。アミラーゼは私たちの体の中でも、だ液などに含まれ、食べたものを分解してくれています。麹甘酒の甘味をぜひ、味わってみてください。