1902年に創部され、早大体育会の中で最も古い歴史を誇る早大漕艇部(男子)は、3年ほど前からマネジャーが中心となって朝食作りを行っている。昨秋からは選手も一緒になり、夕食作りを始めた。

部員たちが協力し、大きな中華鍋で一気に炒める(c)wasedasports.com
部員たちが協力し、大きな中華鍋で一気に炒める(c)wasedasports.com

 それまでは、食事を外部委託していたが、油分が多く、スポーツに必要な栄養が十分に摂取できていないように思われた。「食事の改善」が部内の重要課題として取り上げられ、「栄養のあるものをバランスよく摂取する」ことを目標に、学生自らが動いた。自分たちでチームをつくり上げ、試合で最高のパフォーマンスを発揮する、その第一歩が食生活の見直しだった。

マネジャーがメニュー考案、30人分以上調理

 食事担当のマネジャーが栄養バランスの勉強をしたり、トレーナーや栄養学の教授からアドバイスをもらったりしながら、日々のメニュー、献立を考案している。

早大漕艇部員が自分たちで作った「牛皿とワンタンスープ」の献立(c)wasedasports.com
早大漕艇部員が自分たちで作った「牛皿とワンタンスープ」の献立(c)wasedasports.com

 調理当番は毎週シフト制で組まれており、練習の合間を縫って行われる。普段料理をすることのない部員たちも、当番になると慣れない手つきで包丁を握り、大なべをかき回す。調理にかかる時間は1時間ほど。長いときや人手が足りないときは2時間かかることもあるが、仕上げの味付けまで一切手を抜かない。

まだまだ手探り、試行錯誤の連続

 とはいえ「現状はまだまだ手探り状態」と丹下翼主務(スポーツ科学部4年)が言うように、しっかりとした体制は整っていない。戸田の合宿所で30人以上の食事を作るための調理法、食材の選び方など、試行錯誤の連続だ。

 それでも「部員一人一人が食事作りに携わることで、自らの体調管理や栄養バランスを意識することはもちろん、他の部員の体のことまで考えるようになった」(丹下主務)。

厨房の壁にはこんな張り紙が。「日本一」への意気込みが表れている ©wasedasports.com
厨房の壁にはこんな張り紙が。「日本一」への意気込みが表れている ©wasedasports.com

 食事作りが、学年の垣根を越えた部員同士の交流の場にもなり、競技面だけでなく生活面においてもプラスとなった。2015年の全日本大学選手権で19年ぶりに男子エイトで優勝したのも、それで培ったチームワークが要因の1つだろう。

 「きょうもお疲れ様」と、部員同士思いやりがたっぷり込められた食事は、選手たちの活力源になっている。【早稲田スポーツ新聞会】

管理栄養士・山崎みどりのコメント

 牛肉はタンパク質、脂質、鉄分なども多く運動をする方にはオススメですが、部位によっては脂質が多い分、カロリーが高くなります。バラなどの部位を使う場合は、ニンジン、タマネギを増やし、牛肉の量を減らしても良いでしょう。添え物の納豆は、脂質をエネルギーに変えてくれるビタミンB2が多いので、一緒にとるのは効果的です。

早稲田スポーツ新聞会

 1959年(昭和34)創刊の早稲田大学体育会各部の活躍を追いかけるスポーツ新聞サークル。新聞の制作、ホームページでの記事更新を主な活動とし、学内や試合会場での配布も行っている。