埼玉県戸田市に、中大ボート部の女子選手が生活する単独寮がある。選手5人で、新築のような一軒家で生活し、毎日朝食と夕食を自炊している。週6日のハードな練習を乗り切るため、自分たちで栄養バランスを考えながら、楽しく調理をしている。
大学の時間割などを考慮し、シフトを組んで食事を作る。「主菜、副菜、汁物、ご飯の4品は最低限作るっていうのは決めている」と話すのは、女子部主将の亀井恵利沙(理工学部3年)。この日のメインメニューは豚キムチで、水菜とヒジキのサラダをプレートにおしゃれに盛りつけた。汁物はホウレン草と卵スープで、デザートにリンゴとヨーグルト。ご飯は玄米をまぜて炊くのがこだわりだ。
決められた予算の中で、自分たちで献立から考える。田﨑結女(法学部2年)は「料理本を見ながら、自分たちが食べたいものを作ります」と話す。独学だけではなく、年に数回、女子栄養大の協力で体組成や血液検査などを調べてもらい、自分たちに必要な栄養のアドバイスをもらっている。「前回は鉄分やビタミンDが足りないとアドバイスをもらった。色々参考になる」(亀井)。そのデータ等を元に、減量組と増量組を分け、ご飯の量を器で調整している。
食材、見た目もこだわる
「作る人の個性がすごくでる」(田﨑)と、薄味か濃い味か、和食か洋食かなど、担当の好みが料理に表れる。さらに「彩りや見た目もこだわる」(田﨑)と女子らしさも欠かさない。
入寮当初、包丁の扱いも慣れていなかったという林田瑞希(商学部1年)は「手際がよくなり、今では3品同時に作れるようになりました」。長縄由衣(経済学部1年)は「みんなで作るご飯は毎日美味しい」と笑顔で話した。
アスリートとして、こだわりもたくさんある。ハムやソーセージなどの加工品は基本的に使わない。お肉はタンパク質を多く取れるように、挽き肉よりも豚肉を使う。食卓には常に成分無調整牛乳、オレンジジュースと豆乳を用意。また、試合前は生ものを避け、野菜もすべて火に通し、消化がいいようにしているという。
徹底した食生活で「体つきが変わった。今年だけで筋肉量が5キロ増え、脂肪が減った」(長縄)と体調の変化を実感している。女子部は9月のインカレで女子舵手つきクォドルプル3位入賞。他大学から「ダークホース」と評され、チームの成長は著しい。食生活が、その基盤となっているのは間違いない。【中大スポーツ新聞部】
彩りもきれいで、バランスが考えられた食事です。主食、主菜、副菜、汁物を必ず揃えている点、彩りに気をつけている点も、さまざまな栄養素がとれるポイントになります。タンパク源となる肉や魚類は、種類や部位によって脂質の量が異なります。予算と相談しながら、いろいろな食材を取り入れてください。