スタッフ間で連携、複数の目に効果
体重や体調の管理は、練習前後のグラウンドで計測。そこでも必ずスタッフがいる。体成分分析装置を使ってのデータ測定は月1回行い、栄養士、ストレングスコーチと選手の3者で面談する機会を設け、目標や課題を明確にする。「私の前では『ちゃんとやってる』と言っていた選手が、実は、トレーニングが足りない状態だと分かることもある。複数のスタッフで共有することは価値がある」と藤井さんは分野横断の連携効果の一端を明かした。
現在、ラグビー部は試合期で、関東大学対抗戦の真っ最中。試合後、専用バスで戻ると選手たちはウオーターリカバリーやストレッチをし、食事を摂る。ケガをした選手は治療を受けたり、回復に励んだり、いずれもこの施設内で完結する。
「出場している選手は体の消耗が大きく、体重が落ちてしまうので、早めに手だてを打つようにしている」(藤井さん)。選手の状況は、同センターの教授でもある岩出雅之監督(60)も細かくチェックしており、常に最善を尽くす。
9連覇ラグビー部の知見がベース
そもそも同センターの開設は、ラグビー部が勝ち続ける中で得た知見が基盤となっている。医療・栄養・トレーニングなど各分野の専門家が連携して得たV9。さらに最新技術を加えた4部門の連携で、ラグビー部は10連覇へ突き進んでいる。
こういった取り組みは、他の大学も取り入れ始めている。今年、ラグビー部創部100周年の早大は3年計画で食事改革に取り組み、「打倒帝京」へ気合十分だった。しかし、帝京大は4日の関東大学対抗戦で45-28と快勝し、唯一の5戦全勝を守った。18日の明大戦に勝てば、1試合を残して対抗戦8連覇が決まる。
大学ラグビー界で常に一歩先に行く帝京大。今後もスポーツ医科学の研究を進め、蓄積した知見を他の競技や日本のスポーツ界へ還元し、強化につなげていく。
【アスレシピ編集部・飯田みさ代】