同学年の畑岡に大きな影響受ける

15歳の畑岡は、こう答えたのだという。

「明日にね、疲れを残したくないから。こうすると、疲れが体に残らないんだよ。疲れがたまると、プレーに影響が出るでしょう?」

食事会場では、好きなものだけを食べるのではなく、栄養バランスを考えながら皿に盛りつけていたという。そんな姿を見て、河本は大きな影響を受けた。

「あの頃から、ナサ(奈紗)は、私たちとは、ゴルフとの向き合い方が違っていました。お風呂で、みんながガールズトークをしていても、ナサはずっと交代浴を繰り返していましたから。食事は、体が酸化しないようにとか、次の日に疲れが残らないことを考えて、食べていました」

高校時代から高い意識を持ち続けてきた畑岡は、やはりこの世代の先頭を走る。まだ20歳ながら、重ねた勝利は国内3勝、米ツアー3勝。あの日から、ずっと河本は畑岡を追い続ける。

17年末にあった第3QT(予選会)では、わずか1打及ばずツアー出場権を逃した。遠回りや、挫折、足踏みをしながらも、1歩ずつ前へと進んできた。それは、畑岡という大きな存在があったからだろう。

畑岡奈紗(2018年5月2日撮影)
畑岡奈紗(2018年5月2日撮影)

初優勝したアクサ・レディースの会見で、河本はこんな思いを語った。

「小さい頃からの夢を、諦めずに、曲げずに、やってきました。どん底を味わっても、泥水を飲んでも、一生懸命やっていたら、いつか夢はかなうと思っていた。やっとひとつ、夢がかなった。次の目標は、来年には賞金女王。3年かけて、全米女子オープンを取る準備をしています」

畑岡に追いつき、追い越す日は訪れるだろうか。

いつか、2人が米ツアーで優勝争いをする日を、楽しみにしている。【益子浩一】

(2019年4月10日、ニッカンスポーツ・コム掲載)